新生児へ木製品を贈呈、森林・林業を身近に/住田町

▲ 住田町が28年度から新生児に離乳食用スプーンなどを贈呈へ

住田らしい“おめでとう”を

 

 「森林・林業日本一の町」を目指す住田町は平成28年度、新たに「新生児用品木製品提供事業」をスタートさせた。27年度から取り組む町の「木いくプロジェクト」事業の一環として準備を進めてきたもので、町内の新生児に誕生祝いとして離乳食用のスプーンと、用意した木製品数点の中から希望する1点を贈る。〝おめでとう〟の気持ちが込められた木製品は、小さいうちから親とともに木に触れ、森林・林業の町を身近に感じる新たな機会となりそうだ。

 木いくプロジェクトは、町産材を生かした身近な日用品や特産品の開発、新たな仕事づくり、まちづくりを進めようと設立。庁内の横断的なチームによる推進委員会と、住民主体のワーキングチームを設置し、新生児用品木製品提供事業はワーキングが中心となって進めてきた。

 

木いくプロジェクトワーキングチームでは贈呈する木製品などを検討(写真は3月の会合)

木いくプロジェクトワーキングチームでは贈呈する木製品などを検討(写真は3月の会合)

同事業は子どもたちが木に触れ、木と暮らすことを通じて、その温もりや住田らしさを感じながら成長してほしいという〝木育〟の観点から展開。ワーキングではチームメンバーでの会合や町内保育園児の保護者らに対するアンケート結果、さまざまな試作などを踏まえ、提供する木製品を考案。推進委とも連携を図りながら贈呈方法なども検討した。

 第1弾として用意された木製品は、スプーン、テトリスパズル、知恵盤、木琴、森の琴、宝箱、貯金箱の7点。いずれも地元産材を生かし、ワーキングのリーダー・大村圭さん(世田米)が制作した。木のスプーンは対象者全員に、さらにそのほかの6点のうち、保護者らが希望する1点を贈る。

 木のスプーンは離乳食用で、ツバキ材製。スギ材製の専用木箱に入っており、箱の底裏に新生児の名前(ひらがな)と生年月日が入る。箱には「お誕生 おめでとう ございます」と書かれたオリジナルの掛け紙を巻く。

 テトリスパズルはさまざまな形のブロックを枠にはめ込むゲームで、知恵盤は数字や型合わせができるおもちゃ。木琴、森の琴はそれぞれ、木ならではの温かな音色が楽しめる。宝箱は幅58㌢、奥行と高さは36㌢ずつと大きめのふた付き箱で、育児用品やおもちゃの整理箱などに活用可能。貯金箱はからくり式と、写真を飾れるタイプの2種類(選べるのはいずれか一つ)がある。

 製品にはいずれも、「SUMITA WOOD WORKS(スミタ ウッド ワークス)」の焼き印を表示。これは、地元で育った木を使い、町で丁寧に加工した製品の総称であり、町の大切な財産である木と確かな技術を受け継ぎ、残していきたいとの思いが込められている。

 町は贈呈品を掲載したA4判カラーのカタログを作成。出生届を出しに来た保護者に配布し、欲しい木製品を選んでもらう。品の選定後、スプーン箱への名入れなどを経て、手元に届くのは約1週間後になる見込み。木製品は町役場内にも展示し、選ぶ際の参考にしてもらうという。

 木製品の開発は今後も続け、第2弾、第3弾と追加していく計画。町は「ブラッシュアップをして品目の追加や見直しを図り、より使いやすく、ニーズに沿った形にしていきたい」としている。