より効率的な操業へ サンマ来遊動向も説明 近海漁船漁業協会、LED漁灯実証説明会/大船渡

▲ LED漁灯について説明する井上漁労長=大船渡市魚市場

 県近海漁船漁業協会(鎌田和昭会長)主催の「さんまLED漁灯実証に係る説明会」は13日、大船渡市大船渡町の市魚市場多目的ホールで開かれた。サンマ棒受網操業におけるLED漁灯を活用した操法や実証後の状況に加え、サンマの来遊動向についても説明があり、出席者はより効率的な操業について学びを深めた。

 LEDに関する説明会は、漁獲量増につなげようと今回初めて開催。鎌田会長は、各サンマ船の船主、船長、漁労長、市漁協、県水産技術センターなど関係者ら約30人を前に「意見を出し合って、自分のものにしてほしい」とあいさつした。

 はじめに、同センターの児玉琢哉氏と川島拓也氏が「サンマ漁業漁海況の来遊動向について」と題して講演。平成27年の旬別水揚げ量や資源量、外国籍船の動向などをはじめ、海洋環境や暖水塊の出現頻度、親潮流域の位置について説明した。

 このなかで、近年の漁獲量低迷に関して▽日本近海のサンマ資源量の減少▽道東・三陸に波及する親潮の弱化傾向▽道東沖の暖水塊の停滞──などを要因に挙げた。

 続いて、長崎県の第三太喜丸の漁労長を務める井上太喜さんと、東京海洋大学の稲田博史准教授がLED集魚灯について解説。

 LED漁灯の長所・短所のほか、東日本大震災前はLED漁灯全装船は大型船2隻、小型船は数隻が部分装だったが、震災で船や灯具を失ったのを機に国の補助事業により導入が加速していったという現状にも触れた。

 また、LED漁灯の応用例も紹介しながら「漁灯の出力規制も変更しなければ、光力競争に発展する可能性がある。省電力、高効率で操業できることが実現されつつある今、現場で働く漁業者が真剣に考えるべき」と今後の課題にも言及。

 出席者は、漁獲量増や高効率な操業へ向けて真剣な表情で聴講した。サンマ船も所有する同市赤崎町の水産会社・鎌田水産㈱の鎌田仁社長(42)も説明会に出席。「この4~5年は不漁と言われている中での漁だった。地元業者からするとまだまだ捕れてほしいというのがある。一昨年並みの量になってくれれば」と話していた。