29回目の寄港歓迎、豪華客船「飛鳥Ⅱ」/大船渡(別写真あり)

▲ 29回目の寄港となった飛鳥Ⅱ。出港時は住民らが黄色いハンカチを振り、乗客を見送った=大船渡町

 国内最大の豪華客船「飛鳥Ⅱ」(5万142㌧、小久江尚船長)は15日、大船渡市大船渡町の野々田ふ頭に寄港した。博多発着の9日間のクルーズの一環。強風が吹き付ける「春嵐」に見舞われたため、市内外での乗客向け観光ツアーは中止となり、1時間ほどの停泊のみとなったが、住民らが先代「飛鳥」から数えて29回目となる入港を歓迎した。飛鳥Ⅱは5月、6月にも大船渡港を訪れる予定。

 

春嵐で観光ツアー中止

 

 飛鳥Ⅱは全長241㍍、乗船客と船員合わせて1000人以上を乗せる大型客船。今回は㈱西日本新聞社と㈱JTB九州企画のチャータークルーズで、10日に博多を出港し、韓国・釜山、新潟、函館を経由して大船渡港に入った。

 昨年10月以来6カ月ぶり、先代「飛鳥」を含め通算29回目の寄港。

 太平洋上で急速に発達する低気圧の影響で非常に強い風が吹き、海上は大しけとなった中、現地では午前8時ごろから歓迎セレモニーが開かれ、住民や市などの関係者約200人が横断幕を持って出迎えた。

 戸田公明市長は「ようこそ大船渡へ。寄港のたびにいただく支援を糧に大船渡は復興へ前進している。これからも大船渡、そして被災地の姿を見守ってほしい」とあいさつを述べた。

 このほか、大船渡商工会議所女性会が太鼓演奏、綾里大権現が演舞を披露。

 船から眺めた乗客たちからは大きな拍手が送られた。

 一方、強い風が吹き荒れ、市職員らは設置していたテントが飛ばされないよう押さえるなど対応にも追われた。

 市内外の7コースに分かれてのオプショナルツアーは中止となり、船は予定よりも約5時間繰り上げて午前9時ごろ出港。住民らは黄色いハンカチを持って見送り、乗客は「大船渡の皆さんありがとう」と声を合わせ、手を振り続けていた。

 約10年ぶりに飛鳥Ⅱを見に来たという赤崎町の三浦嘉雄さん(88)・シヅ子さん(81)夫妻は「来るたびに遠くから見ていたが、近くで見るとやっぱり大きいね。風が強くて、乗客が降りられなかったのは残念。また来てほしいです」と願いを込めた。

 飛鳥Ⅱは5月19日(木)、6月8日(水)9日(木)にも大船渡港に寄港することとなっている。