かさ上げ地「初売り」活況、津波復興拠点〝1号店〟が開店/大船渡(別写真あり)
平成28年4月22日付 7面

大船渡市が中心市街地再生に向けて商業集積を図るJR大船渡駅周辺の津波復興拠点整備事業区域(10・4㌶)で21日、ホームセンターが開店した。同区域内でのオープンは3月のホテルに次いで2例目で、商業店舗では初めて。市内外から多くの買い物客が足を運び、全体としては整備途上にあるかさ上げ地が、一足早く活気を見せた。
市内外から買い物客
この日、開店を迎えたのは、DCMホーマック㈱(本社・札幌市、石黒靖規社長)の「DCMホーマック大船渡店」。地元の㈱マイヤ(米谷春夫社長)などと、「キャッセン・大船渡ショッピングセンター」として敷地面積約3・4㌶の複合型商業施設整備を進めており、その先陣を切る形となった。
店舗面積は1605坪。工具や各種資材、介護用品などの品ぞろえを充実させ、住宅リフォームやペット関連のコーナーも設けるなどした。
午前8時に開店すると、市内外から訪れた買い物客が続々と入店。平日とあってお年寄りが中心で、親子連れなどの姿も見られ、かさ上げ地に設けられた店での「初売り」は活況を呈していた。
同町の山本芳吉さん(86)は「大きくて何でも手に入るからすばらしいと思う」と歓迎しながら、「この場所にどんどん店ができていくのはいいが、津波が来たらと心配もある。いざとなったら屋上に逃げられるつくりにしてほしい」と、まちづくりへの注文も。
また、町内の災害公営住宅で暮らす坂本優子さん(81)は、「行きは下りだからいいが、帰りに荷物を持って坂を上がるのはたいへん。シャトルバスなどで行き来が楽になるとありがたい」と話していた。
アクセス路となる市道野々田明神前線と県道丸森権現堂線の一部が通行可能となり、「新しいまち」の様子に目をやる人たちの姿も目立った。陸前高田市高田町の女性(60)は、「これまでなかったような規模の店が近くにできてうれしい。高田が大船渡に遅れをとっている気がして少し寂しさもある」と話していた。
前日には関係者を招いての店内見学会も開かれた。席上、石黒社長は「この場所で最初にオープンさせていただき光栄。末長く市民の皆さんに愛され、復興の役に立てる店になっていきたい」、来賓の戸田公明市長は「来年の春先には個店も完成していると思う。にぎわいがあり持続する三陸沿岸の中心都市の商店街として、皆でつくりあげていきたい」と、それぞれに決意も新たにしていた。
8街区がある拠点の核と位置付けられる大船渡ショッピングセンターは今後、マイヤのスーパーマーケットが6月2日(木)に開店。衣料品や飲食、クリーニングなどの店が同月中に順次オープンする予定となっている。
大船渡駅周辺では同日、ホテル福富(佐々木幹子代表)が土地区画整理事業区域のかさ上げ地で移転開業を果たした。本年度は駅周辺を中心に仮設から本設への移行が相次ぐ見通しで、震災後の市内商業は新しい局面に入る。