開設1周年 節目祝う、災害公営住宅交流プラザで「まつり」/陸前高田(別写真あり)

▲ 施設前などで行われた1周年記念の「まつり」=高田町

 一昨年10月から入居が始まった陸前高田市高田町の下和野災害公営住宅2号棟(高田松原側)1階に整備された市民交流プラザは、22日で開設1周年を迎えた。福祉関係者が見守りや相談活動の充実を図る中、住民も気軽に利用しており、新たな復興の形として注目を集める。同日は記念の「まつり」が開かれ、参加者は節目を祝い合いながら、さらなる充実に向けて交流を深めた。

 施設前での式典には、団地住民や市、市社協の関係者ら約100人が参集。冒頭、熊本地震での犠牲者に対して黙とうをささげた。

 戸羽太市長は「被災地はたくさんあれど、こういう取り組みがうまくいっているところはあまりないのでは。成功事例として、国も注目している」とあいさつ。今後の復興事業を見据えながら「人が集う場の確保や、さみしさをなくすのが大切」と語った。

 市社協の村上誠治会長も、住民が寄り添う場の重要性を強調。下和野団地自治会の臼井佐一会長は「大変評判がいい。いちばん感謝しているのは、住民たち」と述べた。

 引き続き、下和野はまらっせんクラブの住民たちが育てる公営住宅脇の農園前に移動し、余興などが繰り広げられた。踊り披露に加え、交流プラザを運営するスタッフや住民がつくったちらし寿司を頬張りながら昼食。同クラブや、団地内で活動している麻雀会の報告も行われた。

 下和野団地は高田小南側に位置する東日本大震災の浸水域で、同校校庭とほぼ同じ高さとなる海抜12㍍まで盛り土を行った地に整備。高田松原地区の防潮堤よりも早く完成したため、市は1階に居住スペースを設けず、店舗などとしての活用を進めてきた。

 2区画を用いて整備された交流プラザは、誰もが集い、相談を通じて支え合う社会づくりを進めようと市が整備。寄せられた悩みなどを行政機関などにつなぎ、解決を図ってきた。

 また、団地に暮らす住民と来訪した住民が交流する場として、交流スペースにはテーブルのほか、畳敷きの小上がりもある。横田町にアトリエを構える画家・田﨑飛鳥さんの絵画作品が並ぶ中で、多彩な住民交流活動が行われてきた。

 オープン翌日以降の利用実績をみると、先月末までの来所者は6205人。このうち下和野団地内からが2967人、周辺住民が1969人、来客らが1269人。1日平均では27人となる。相談は同時期までに569件が寄せられた。

 使用時間は午前10時から午後4時ごろまでで、月~金曜日に開設。連絡先電話番号は相談スペースが22・7366、交流スペースは22・7376。交流プラザは本年度、同町・中田地区の災害公営住宅にも整備される計画となっている。