産学官連携で水産系専門学校設置へ、空き校舎活用 留学生別科も/陸前高田市

▲ 本年度中に空き校舎となる計画の横田小校舎=陸前高田

「学びと就労」に期待

 

 空き校舎活用による陸前高田市の交流人口拡大と地域振興に向け、本年度から産学官連携で専門学校設置に向けた動きが本格化する。同市と日本ウェルネススポーツ大学を運営する学校法人タイケン学園(柴岡三千夫理事長、東京都)、同市などに水産加工場を構える㈱かわむら(川村賢壽代表取締役、本社気仙沼市)が近く包括協定を締結。現横田小や気仙小が今後空き校舎となる中、平成29年度以降に大学の留学生別科、31年度以降には水産系専門学校などの設置を目指す。

 25日に開かれた市議会全員協議会の場で、市当局が説明。5月には地域住民説明、包括連携協定締結を行い、6月以降諸協議や学校設立申請などを進めることにしている。

 協定内容は、陸前高田市が交流人口拡大や地域活性化に向け、市内の空き校舎を提供。タイケン学園は空き校舎を活用して大学生の留学生別科、水産系の専門学校、大学のサテライトキャンパスを設置し、運営を担う。かわむらは、学生に就労提供を行う。 

 29年度以降に、先行して留学生別科を設置。31年度以降に水産系専門学校や日本人向けの大学サテライトキャンパス、通信制高校などを設置する計画。水産系の専門学校は新設となる。具体的にどの空き校舎を活用するかについて、市当局は「横田小、気仙小、気仙中のどれかを検討している」と述べた。

 学校統合や再建の動きが進む陸前高田市では、今後空き校舎が増える。横田小校舎は本年度中に、前年度で閉校となり同校よりも築年数が短い横田中校舎に移る。

 現在旧長部小校舎を利用している気仙小も土地区画整理事業の高台造成地に再建計画があるほか、旧矢作中校舎を利用している気仙中は高田一中との統合に向け、今後協議が具体化する。旧米崎中校舎を利用する高田東中も本年度中に空き校舎となるが、岩手大や立教大が交流拠点としての活用を見据えている。

 タイケン学園は平成9年に学校法人として認可を受け、翌年にスポーツ専門学校を開校。24年に同大学が開学した。現在は首都圏を中心としながらも、全国各地でペット&アニマル専門学校、歯科衛生専門学校、高校、保育園を運営している。

 大学ではすでに別キャンパスで留学生別科を設置。大学講義を受講できる日本語能力を身に付けるための日本語専修課程や、国際ビジネス専修課程などを設け、学校や入国管理局が許可する形で学生はアルバイトも可能となっている。

 議員からは水産系専門学校の方向性について、市側の見解を求める質問も。戸羽太市長は「高田高校の海洋システム科で学ぶ生徒たちの進路の可能性を広げたい。水産加工事業者は売り先に海外を視野に置いており、輸出のノウハウなどビジネスとして成り立たせるノウハウを学ぶ場を陸前高田市や近隣の人たちに提供することで、交流人口拡大や産業振興につながる」と語った。

 留学生別科、専門学校ともに100人を超える規模の利用が予想される。かわむらをはじめ関係機関の支援を受けながら、学生たちは居住やアルバイト先を確保する構想となっており、人口減少下における地域の活性化、労働力向上策としても期待が集まる。