待望のプレオープン、住民交流拠点施設「まち家 世田米駅」/住田町(動画、別写真あり)
平成28年4月30日付 1面
住田町が世田米字世田米駅に整備している住民交流拠点施設「まち家世田米駅」は29日、プレオープンとして施設の一部供用を開始した。記念式典が行われ、レストランやコミュニティカフェなどが営業。町内外の来場者らが食事や施設内の見学などを楽しんだ。施設は5月末までの工事を経て完成の予定で、今後はイベントなども開催しながら新たなにぎわいを生み、住田の魅力を発信していく。
にぎわい生み 魅力発信
住民交流拠点施設は、町が平成23年度に決定した町中心地域活性化構想に基づいて整備。地域住民に住み続ける誇りやこだわりを再認識してもらうとともに、中心地域の歴史的な魅力を再発見し、育み、発信し、未来に継承するための拠点として位置づけている。
施設には、明治時代から昭和30年代にかけて建設された旧菅野家の家屋や蔵などを活用。町は24年度に建物を譲り受け、土地を4110万円で取得した。
改修工事は、建物の構造や部材をできる限り当時のまま残す形で進めており、レストランやコミュニティカフェ、交流スペース、まちや体験スペース、蔵ギャラリーなどを設置。世田米地区公民館としての機能も有する。
今回のプレオープンでは、レストラン「kerasse(けらっせ)」とコミュニティカフェ「すみカフェ」、交流スペース、まち家体験室の一部が供用を開始。記念式典には来賓や地域住民、関係者ら約60人が出席した。
多田欣一町長は感謝の意を表しながら、「この施設が多くの方に利用され、町の活力、交流人口、商店街振興、観光振興の大きな役割が果たせることを期待する」とあいさつ。地権者の増田洋子さん(82)=東京都=と菅野由弘さん(62)=神奈川県=に感謝状を、愛称「まち家世田米駅」の名付け親である吉田彩華さん(22)=陸前高田市気仙町=に賞状などを手渡した。
菊池孝町議会議長、小向正悟県沿岸振興局長の祝辞に続き、来賓や関係団体の代表らで一部開設を記念してテープカット。出席者らで記念撮影も行い、プレオープンを告げた。
その後はレストランが営業を開始し、来場者らが地元産食材を使ったランチメニューに舌鼓。コミュニティカフェではコーヒーなどを飲みながら、和やかな時間を過ごした。施設内を見学し、世田米を代表する町家の構造や気仙大工の技に理解を深める姿も見られた。
愛称を考案した吉田さんは「地名に〝駅〟という名前が付いており、たくさんの人が集まってほしいとの願いを込めた。皆さんに親しまれる交流施設になり、昔のような宿場町のにぎわいが生まれれば」と期待。
旧菅野家で生まれ育った増田さんは「思い出がいっぱい詰まっている家であり、地域の皆さんとともにこの建物が生き続けられることに感謝している。ご先祖様もこの家も喜んでいると思う」と感慨深げな表情を見せた。
施設は今後、5月2日(月)を除いて同5日(木)まで営業。6日(金)から13日(金)は施設工事のため一時休業する。
営業時間は午前9時から午後10時。休業明け後は、水曜日が定休日となる。祝日を除く火、木、金、土の各曜日は、日中に世田米地区公民館としても開館する。
問い合わせ先は、施設が℡22・7828、公民館は℡22・7808。