試験植栽から1年経過、竹簀づくりも地道に/高田松原を守る会など
平成28年5月1日付 7面

NPO法人高田松原を守る会(鈴木善久理事長)などが陸前高田市小友町内で展開している試験植栽活動は、実際にマツを植え始めてから1年が経過した。盛り土の締め固め強度が異なる3試験区に植え、根の伸び具合などを確認。これまでの調査では、当初の予定通り土壌硬度によって成長に差が見られた。守る会では、苗木を強風などから守る竹簀づくりもボランティアの協力を得ながら進めている。
盛り土の固さ マツ成長に差

地道に行われている竹簀づくり=同
試験植栽は、一般財団法人・日本緑化センター(東京都)、同・ベターリビング(同)に加え、守る会が協働で実施。各団体はこれまでも連携をとり、高田松原の再生・保全活動を進めている。
土の締まり具合による根の伸びや排水不良への影響を確認し、松原での保安林整備を担う県に情報提供を行うほか、市民らによる植栽にも役立てようと実施。植栽は昨年4月19日に実施した。
植栽場は小友町浦の前地内の元農地で、1㍍程度の盛り土を施した。松原の保安林整備でも、盛り土上での植栽が計画されている。
試験区は▽重機で締め固める(A区)▽重機で締め固めた後に耕転(B区)▽重機による締め固めなし(C区)──の3種類。各区ごとに1㍍間隔で深さ15㌢程度の穴を開け、アカマツとクロマツを1列ずつ植えた。
今年2月に一部の列を掘り、マツの地上や根部分の高さをそれぞれ調査。地上高は各区とも平均40㌢台だったが、根はA区が47・3㌢、B区は59・1㌢、C区は89・5㌢だった。土壌硬度に対応する根伸長量が実証された形となり、調査内容を岩手県に報告。29年度からの苗木植栽に向けた活用に期待を込めた。また、葉をみてもC区で濃い緑色が多く、良好だったという。
試験植栽地とは別に、守る会では箱根山麓に苗木畑を設け、現在約7000本を管理。
さらに、竹簀づくりにも力を入れる。竹簀は強風から苗木を守り、初期の生育を促すほか、雨水を効率よく地中に浸透させて苗木の乾燥を防ぐ。
多くの市民や全国の人々が再生活動に参画するための橋渡し役や、気仙各地の竹資源を有効活用できるといった面でも期待を集める。前年度以降、復興サポートステーションを通じて参加するボランティアの協力を得ながら進め、4月までに1000個を超えた。来年までに3000個の制作を見据える。
高田松原では、整備が進む第一線堤と第二線堤間12㌶の中で県が保安林整備を進め、アカマツとクロマツを1㌶あたり5000本を植栽する計画。そこに守る会も参画する流れとなっている。
鈴木理事長(71)は「かつての白砂青松をつくった先人も、かなり苦労を重ねたと思う。せっかく植えるマツなのだから、ちゃんと育つように頑張らなければ」と語り、日々の活動に力を込める。