元気と魅力を発信、悪天候で人出にばらつき/気仙の黄金週間

▲ 恒例の碁石海岸観光まつり。2日目は好天に恵まれ、市内外から多くの人々が来場=大船渡市

 新たな拠点・グルメに関心高く

 

 先月29日から今月8日まで、最大10連休となった今年のゴールデンウイーク。気仙2市1町では各種イベントや式年大祭が行われ、景勝地、観光施設でも多彩な企画が展開された。期間中は悪天候に見舞われた日もあり、人出にはばらつきがみられたものの、復旧・復興に向かって歩む気仙の元気と魅力を発信した。また、新たな交流拠点やグルメにも高い関心が集まった。

 

 式年大祭で地域に活気/大船渡市

 

 大船渡市では五葉山山開きや碁石海岸観光まつり、鯉のぼり子どものつどいといった世代を超えて楽しめる恒例の催しを開催。立根町の五葉神社と赤崎町の尾崎神社では4年に一度の式年大祭が挙行され、地域を活気づけた。
 碁石海岸観光まつりは、三陸海岸の代表的な景勝地である碁石海岸のすばらしさと、海のまち大船渡ならではの「食」の魅力を広くPRしようと、4、5の両日に開催。大船渡の海の幸を中心としたご当地グルメコーナーや、多彩なステージイベントを繰り広げた。
 主催の実行委によると、来場者数は初日が約5000人、2日目が約1万4000人で、2日間の総数は約1万9000人。初日は降雨の影響で伸び悩んだが、好天に恵まれた2日目は例年並みの数でにぎわった。
 3日は五葉神社式年大祭が挙行され、神輿渡御行列、第一中仮設グラウンドでの御旅所では8年ぶりとなる余興奉納を展開。町内にはにぎやかな祭りばやしが響き、盛大な祭り絵巻を多くの人々が見物した。
 4日は、尾崎神社式年大祭が8年ぶりに復活。雨模様にもかかわらず、神社では各地区の獅子舞や手踊りが繰り広げられた。清水漁港では曳船祭りとして大漁旗を掲げた漁船が湾内を巡行し、海の町は活気に沸いた。
 三陸町越喜来の道の駅さんりくでは、29日から8日まで「さんふる祭」が開かれ、多くの観光客が来訪。運営する三陸ふるさと振興㈱によると、同駅と夏虫のお湯っこの客足は天候によってばらつきはみられたものの、総数ではいずれも例年並みだったという。

 

 語り部ガイドや一本松観光減少/陸前高田市

 

 陸前高田市では5日、小友町の気仙大工左官伝承館で恒例の「箱根こどもまつり」(箱根振興会主催)を開催。竹馬、竹とんぼ、といった昔遊び体験のほか、ローラー滑り台をはじめとするアスレチックを目当てに、地元から約1000人の親子連れが訪れた。

地元の親子連れなどでにぎわった箱根こどもまつり=小友町

地元の親子連れなどでにぎわった箱根こどもまつり=小友町

 広田町の黒崎仙狭温泉では「ゴールデンウイーク感謝祭」として期間中さまざまな催しを開き、29~8日までに延べ1904人が利用。最も多かったのは4日の261人で、通常営業日の約2・5倍の来館者数に。帰省客や観光客らが〝オーシャンビュー〟の湯を楽しんだ。
 高田松原「奇跡の一本松」駐車場内にある一本松茶屋は、オープン以来2回目となる大型連休を迎えた。物産販売を行うたがだ屋一本松店を管理する陸前高田地域振興㈱によると、連休前半の4月下旬はお土産品を求める人たちでにぎわい、昨年以上の売り上げがあったという。また、ご当地グルメとして3月にデビューした「ホタテとワカメの炙りしゃぶしゃぶ御膳」はどこで食べられるかといった問い合わせも。
 一方、5月に入ってからは来客数も下降線に。同店の店員は「強風か雨かといった天気で、一本松見学にも影響があったのだと思う。熊本・大分での地震発生を受け、そちらへ向かったボランティアも多かったのでは」とみる。
 また、同市観光物産協会を通じた語り部ガイドの依頼件数は、昨年の同時期と比べて10件以上、人数にしておよそ200人減少した。同協会副会長でガイドの實吉義正さん(73)は「ツアーバスや中高生の研修旅行がぐっと減り、個人のお客さまがほとんどだった。昨年の大型連休中はフル回転で動いたが、今年は担当のない日もあったほど」といい、被災地への関心の薄れも指摘した。

 

 雨の影響受けるも催し多彩/住田町

 

 住田町では世田米商店街を中心に3、4の両日、3年ぶりとなる天照御祖神社式年大祭が執り行われた。4日は朝方から悪天候に見舞われたが、行列が始まった正午過ぎには青空が広がる時間帯もあり、1000人を超える祭り絵巻でにぎわいが生まれた。

「まち家世田米駅」前も祭り絵巻の舞台に=住田町

「まち家世田米駅」前も祭り絵巻の舞台に=住田町

 幼児をはじめ幅広い世代の地域住民や出身者が多数参加し、郷土芸能などの伝統を次代につないだ。一方で祭典委員会関係者からは「午前中の雨が影響し、人出は前回よりも少ないように感じた」との声も聞かれた。
 商店街では4月29日、町が整備を進めてきた住民交流拠点施設「まち家世田米駅」がプレオープン。5日までの土、日、祝日は、レストランやコミュニティカフェが営業した。
 施設利用は、営業6日間で約1200人。町外からの来訪も多く、古民家を生かした新空間に対する関心の高さをうかがわせた。
 道の駅種山ケ原ぽらんでは、大型連休期間中に「感謝祭」「春の種山まつり」を開催し、行楽客を迎えた。29日は、肌寒く厳しいスタート。連休中盤は天候に恵まれ、例年通りの入り込みを見せた。4、5の両日は雨、風ともに強く伸びを欠いた。
 施設を運営する町の第三セクター・住田観光開発㈱によると、29日から8日までの入込数は9699人。曜日配列や天候に恵まれ、1万人を超えた前年を下回った。一方で「人数が減ったほど、売り上げの落ち込みはない」と松田栄社長(55)。高品質を誇る山菜類などを買い求める姿が目立った。
 上有住の滝観洞は、同社調べで10日間の来訪者が1144人と、1500人超えを果たした前年には届かなかった。その一方で「滝に鯉(恋)まつり」初日の3日は300人、4日は280人が訪れ、洞内巡りや渓流釣り、滝流しそばなどが人気を集めた。

 

 

 

 期間中はぐずついた天気に/気仙

 

 4月29日から5月8日にかけての気仙地方は、低気圧と高気圧が交互に通過したため、天気が周期的に変化した。低気圧と前線の影響で雨や曇りの日が多く、期間中はぐずついた天気となった。
 盛岡地方気象台の大船渡の観測データによると、低気圧の後に寒気が流れ込んだため、期間のはじめは平均気温が平年より低めに推移。中盤以降は暖気の影響で気温が上がり、3日から6日連続で平年を上回った。このうち、5日から8日までの4日間は最高気温が20度を超えた。
 4日は発達した低気圧と前線が通過したことで大荒れの天気となり、42・5㍉(平年比37・8㍉多め)の日降水量を記録。1時間で10㍉のやや強い雨を観測した。
 日照時間が平年を上回った日数は3日。10時間を超えたのは8日のみで、日照を全く観測しない「不照」は1日あった。