生産性向上へ意欲新た、食品製造業3社「カイゼン」導入開始/気仙

▲ 導入開始セレモニーで生産効率向上への思いを新たにしたオサベフーズ岩手工場の従業員ら=竹駒町

 県沿岸広域振興局(小向正悟局長)は本年度上半期(5~9月)、気仙両市の食品製造業3社を対象に、大手自動車メーカーの生産方式「カイゼン」の導入支援に取り組む。13日は各社で活動開始を宣言する「キックオフ」セレモニーが催され、震災で人手不足が続く中、関係者が現場の省力化、生産性の向上へ思いを新たにした。

 

県の支援受け定着図る

 

 「カイゼン」は製造工程の無駄をなくし、生産効率向上、働きやすい職場環境づくりを図る手法。同振興局は25年度から、水産加工会社などへの本格的な導入を推し進めており、昨年度までに延べ34社が取り組んだ。
 本年度上半期の支援先は、大船渡市の及川冷蔵㈱、陸前高田市の㈱オサベフーズ、㈱武蔵野フーズ。
 このうち、新たにカイゼンに挑戦するオサベフーズは竹駒町の滝の里工業団地内に構える岩手工場でキックオフが宣言された。
 冷凍食品の製造・販売を手がける同社は、震災で陸前高田市と宮城県気仙沼市の3工場を失い、岩手工場は25年4月に現在の拠点に場所を移して稼働を再開。新商品開発にも力を入れ、流通大手企業と連携して販売につなげるなど経営の回復を進めてきた。
 カイゼンを図るのは主力のメンチカツ。パン粉の落下が多いといった生産ラインの見直しなどを行う。
 成田義行専務取締役は「取りかかりやすい課題から解消していければ。今回の活動で終わりにせず継続させ、気仙沼を含め全従業員でカイゼンの効果を共有する場も設ける」と意欲を語る。
 一方、26年度下期からカイゼン活動に取り組む及川冷蔵㈱(及川廣章代表取締役)は、本年度上期は鮭フィーレ切れ身の加工作業でカイゼンを実施する。今年は、商品の受注が昨年比3割増となる見込みで、今後は工場1階と2階の能力差を平準化するなどして46・5%の生産性向上を目指す。
 キックオフセレモニーで及川代表取締役は「リスタートから5年、設備も充実してきたので、これをフル活用していきたい」と述べ、加工部の後藤勉さんは「作業を見直し、無理・無駄をなくして生産性を上げたいと思う」と決意表明した。
 各社には今後、指導員数人が月に1回のペースで訪れ、指導を受ける。
 県沿岸広域振興局の高橋勉副局長は「これまでカイゼンに取り組んだ事業者でも目覚ましい成果が生まれている。新しいことに挑戦するのは大変だが、各社のさらなる飛躍につながれば」と期待を込める。