周年生産の安定化を、米崎の大規模園芸施設でミニトマト収穫始まる/陸前高田
平成28年5月19日付 7面
陸前高田市が米崎町に整備した大規模園芸施設で、冬に定植したミニトマトの収穫作業が始まった。稼働後2度目の春を迎えたハウス内では、甘い朱色の実が連なり、作業員が連日収穫。他産地の端境期にも対応できるよう周年生産を手がける同施設。昨年度は需要が高まる夏に収量が落ち込んだだけに、本年度は反省を生かして高品質で安定的な出荷を目指す。
夏場の温度管理「鍵」
大規模園芸施設は、震災で浸水した米崎町川崎地内に構える。振興作物のトマトとイチゴの安定生産、ブランド化を可能とする周年・養液栽培の技術実証や普及を図ろうと整備され、昨年1月に完成した。
軽量鉄骨造のハウス4棟は、広さが約4000平方㍍前後。1号棟ではイチゴを、2~4号棟ではミニトマトを栽培している。管理・運営はJAおおふなとの子会社、㈱アグリサービスが担っている。
ミニトマトは土壌づくりが不要で低コストにつながる栽培システム「隔離床養液栽培」を採用。ナノ(10億分の1㍍)サイズの無数の穴が開いた特殊フィルムの上に土を敷き、作物を育てることで、根が求める養液だけを通し、余分な水分や害虫の侵入を防ぐという新技術だ。
シート越しに水分や養分を吸い上げることでストレスがかかり、植物自らで実への糖分などをつくり出す作用が働く。これにより、甘みや栄養が凝縮された実の生産につながるという。
昨年度は出荷ピークの夏、ハウス内の適温管理などに対応しきれず、着果不良に見舞われ、冬季の低温、日照不足も課題となった。今回は繁忙期の省力化などを狙いに、定植を行う時期を今年1月、3月、7月とハウスごとにずらした。早いものは今月上旬から収穫が行われている。
甘みが非常に強い「フルティカ」や「小鈴SP」など7、8品種合わせて6万6000本を栽培。1日につき1本から実一つ(約10㌘)以上の収穫を計画し、1㌔当たりの単価は前年度よりも150~200円高の1000円台を目指す。出荷先は盛岡市など県内だが、軌道に乗れば関東圏も視野に入れる。
一方、イチゴは県が特許を保有する閉鎖型高設栽培システムを導入。栽培管理の手間をできる限り省いたシステムで、現在、秋の定植、冬の収穫といった次期作の準備作業が進められている。
アグリサービスの船田秋美津統括部長(59)は「昨年度の栽培で1年を通じて収穫できたのは次につながる経験となった。いかに品質を保って収量を安定できるかまだまだ課題は多いが、いいものを届けられるよう頑張りたい」と力を込める。






