定置網 順次休漁に、クロマグロ資源管理で/6月末まで

▲ まもなく最盛期を迎えるマグロ(写真は昨年の水揚げの様子)=大船渡市魚市場

 本県沿岸の定置網漁が、今月末から順次休漁となる。太平洋クロマグロの資源管理に伴うもので、12日に大船渡市猪川町の大船渡地区合同庁舎で関係者による協議が行われ、気仙沿岸定置の休漁期間が決まった。クロマグロの最盛期に合わせ、6月末までに気仙管内計13の定置網がそれぞれ10~12日間ずつ休漁する。

 

気仙13ケ統は10~12日間

 

 水産庁では、太平洋クロマグロの親魚資源量が歴史的最低水準の約1・9万㌧付近にあることから、資源回復が必要と考えている。また、親魚資源量の将来予測のシミュレーション結果から「小型魚漁獲の50%削減」の資源管理措置などを行い、10年以内に歴史的中間値(4・3万㌧)まで回復させたいとしている。
 休漁はこの考えを受けて実施するもので、県が窓口となって指導に当たる。
 30㌔未満の小型魚の漁獲量を、平成14年~16年平均漁獲実績8015㌧から半減の4007㌧とし、漁業種別に大中型まき網漁業が2000㌧、そのほかの沿岸漁業など(ひき網、定置網)が2007㌧と上限を設定。第1管理期間を27年1月から28年6月までの1年6カ月間と定め、沿岸漁業においては全国を「日本海北部」「太平洋北部」「瀬戸内海」「太平洋南部」「九州西部」「日本海西部」の6ブロックに分けて漁獲量を監視。漁獲上限の95%に達した場合、操業自粛を要請するなどして漁獲量を管理する取り組みを開始している。
 ブロックごとに漁獲が上限の7割に達した段階で「注意報」、8割で「警報」、9割で「特別警報」、漁獲上限に達する前の9割5分で「操業自粛要請」を、各都道府県を通じて漁業者に発出する仕組み。
 さらに、国では第2管理期間(28年7月~29年6月)から「くろまぐろ型TAC」の検討を進め、試行していく。
 くろまぐろ型TAC素案は▽新たに大型魚(30㌔以上)の漁獲上限4882㌧を設定し、全国を一つの枠で管理(定置網、巻き網もともに管理)▽定置漁業などの知事管理漁業の管理期間は7月開始、6月終了▽漁獲上限に達した場合には、知事がブロックごと、またはグループごとに足並みをそろえて、全面的な操業停止命令を発出(試行中は自粛要請の見込み)――など。
 同期間以降の管理体制へに向けては、サケ漁などに大きな影響のある定置網の全面操業停止のリスクを下げるため、四半期ごとに累計の漁獲上限を定めてクロマグロの水揚げ制限や、漁獲量の多い6月を中心に集中して休漁を行うなどの対応が進められている。
 また、来年の盛漁期までに休漁期間にかかる自主ルールの策定を検討することとしており、くろまぐろ型TACに対応していく。
 県内の定置は計17ケ統。第1管理期間中は、タモ網ですくえる個体は可能な範囲で放流に努める、クロマグロ漁獲量の多い定置では連続10~12日間の休漁などの取り組みを行っている。
 うち気仙沿岸の13の漁場では、今月29日から6月27日にかけて一日1~7ケ統が10~12日間ずつ休漁する。
 県内の25年~26年の定置網漁獲額合計はメジマグロ・クロマグロが最盛期の6月で20億円余りだが、サケは11月だけで600億円にものぼる。仮にサケ最盛期中にマグロの漁獲上限を超えて操業停止命令が発出された場合、沿岸漁業は大きな痛手を受けることになる。
 県沿岸広域振興局大船渡水産振興センターの山口浩史所長は「マグロの資源管理のために主力魚種のサケを止めるわけにはいかないので、そうならないような取り組みをしていかなければならない」と語った。