人口増 所得向上へ活用を、「政策パッケージ」全世帯配布/住田町

▲ 町内全世帯に配布した「政策パッケージ」=住田町

 住田町は平成27年度に策定した町人口ビジョン、総合戦略、総合計画をふまえ、人口対策や所得向上を着実に進めるための施策をまとめた資料「政策パッケージ」をつくり、町内全戸に配布した。結婚・出産・子育てや地域づくり、定住促進、しごとづくりの各分野ごとに本年度からの新規事業などを分かりやすく記載。住民や移住者による支援策の積極的な活用や、町政参画意識の高揚などに期待を寄せる。

 

支援メニュー分かりやすく

 

 国のまち・ひと・しごと創生法に基づき、町は27年度から5カ年の人口ビジョンと総合戦略、さらに28年度から4年間にわたる総合計画を策定。人口ビジョンでは町の将来展望を、総合戦略ではその政策目標や重要施策を掲げ、総合計画は各重要施策の部門別計画に位置づけている。
 持続可能な町政運営に向けた重要な指針となる半面、各計画をまとめた資料は総論も含めた構成で100㌻を超える。住民視点では、具体的な施策展開の方向性が理解しにくい面もあった。
 政策パッケージでは、町がとくに重視している人口対策や所得向上策、住民に身近な分野の支援策を紹介。A3判の片面カラーにまとめ、仮設住宅を含む約2200世帯分を用意した。
 パッケージでは▽結婚・出産・子育て▽地域づくり▽「住田に住みたい」▽しごとづくり──をそれぞれ応援する施策を紹介。本年度からの新規事業や、充実を図った支援策も盛り込まれている。
 結婚・出産・子育てのうち、流産や死産を繰り返す不育症への治療費助成(1人30万円)は本年度からの事業。大学などを卒業して町内に5年以上住んだ場合は、奨学金の一部返還を免除する。
 本年度から返還が始まる受給者が対象で、具体的には新卒でUターンすると50%免除。以降、Uターンが後になるごとに減免額が少なくなる。大学生のみならず、専門学校生や高校生も対象とする。 地域づくりでは、町内5地区に地域おこし協力隊員を配置し、地域の「元気づくり」を後押し。集落支援員も置き、地区公民館や自治公民館の活動を支援する。
 「住田に住みたい」のうち、住宅新築支援策は従来よりも補助金額を拡大。基本支援額は50万円で、Uターンや移住者、町営住宅在住者らはさらに50万円加算する。
 さらに世帯内に18歳以下の家族がいれば50万円追加。町内施工業者利用で100万円、町産材使用で最大50万円(使用した町産材1立方㍍につき、2万5000円加算)が上積みとなり、最大で300万円の支援が受けられる。
 リフォームには基本支援額がなく、町内施工業者は30万円加算、町産材は最大20万円としており、補助金は150万円まで。新築、住宅リフォームとも工事費用の20%を上限とする。
 しごとづくりでは、本年度から起業時に最長5年間、年間150万円を支給。これまで青年就農者には同様の支援策があったが、サービス業や製造業などの立ち上げも対象となっている。
 空き店舗改修助成は最大100万円で、地区を限定せず町内全域が対象となる。
 国立社会保障・人口問題研究所の人口推計によると、2040(平成52)年の人口は3211人と見込まれる。2010(平成22)年の人口は6190人。人口ビジョンでは、出生率の向上や社会増減ゼロを目指し、2040年に約4000人の人口を目指すとしている。
 町企画財政課では「具体的な数字を明記し、わかりやすい形にまとめた。住民の皆さんによる制度活用や移住を考えている人の紹介などにつながれば」としている。