デザイン思考生かして、岩手大と共同研究 ビジネスプラン支援事業/大船渡市(別写真あり)
平成28年5月25日付 1面

大船渡市と岩手大学による共同研究「デザイン思考を活用したビジネスプラン作成支援事業」は22日、盛町のカメリアホールで始まった。初回は特別講演「〝その手があったか!〟を考えるイノベーティブ思考法」を展開。参加者らはデザイン思考を生かしてビジネスに必要な問題設定や面白い切り口を見つける方法を学び、起業、商品開発といった自らが描く新たな取り組みの糧とした。事業は10月までに全8回行われ、ビジネスプラン作成に向けた具体的な学びを進めていく。
新たな取り組みの糧に、高校生も多く参加
市と岩手大の共同研究は、新しい起業支援の取り組みを目的に平成27年度から実施。本年度はデザイン型思考への理解を深め、その実践としてビジネスプラン作成に取り組むことで、起業や事業拡大といった新たな取り組みへの意欲向上を図る同事業を展開する。
今回のテーマ「デザイン思考」は、従来の科学技術における計画的で役割分担的な手法とは違い、デザイナーが行ってきたような「試行錯誤しながら、設計者もユーザーも一体になって作りながら考え、考えながら作る」進め方。主観的、感性的な思考とされる。
特別講演には、気仙各地から一般をはじめ、大船渡、住田各高校の生徒ら32人が参加。講師は、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科講師の富田欣和(よしかず)氏が務めた。
富田氏は、ビジネスにおける「顧客に提供する新たな価値」を見いだす必要性や、「イノベーション」と位置付けるには新しいことを考え、さらに普及させていかなければならないことなどを説明。
面白いビジネスを考える際には、「自分とは違うタイプの人と発想する」「仕様もない考えもたくさん出していこう」などとアドバイス。ビジネスに結び付く〝解決策〟を考えるに当たっては、その前に視点を変えて問題を切り取り直し、「その手があったか」という考えを導き出す大切さも説いた。
ワークショップは6班に分かれ、「コミュニケーションツールをイノベーティブに考える!」をテーマに展開。最初のアイデアから目的を構造的に理解し、解の自由度を高めていくバリューグラフの作成をはじめ、コミュニケーションに関係する問題設定の考案、設定した問題に個々の考えや連想した言葉を数多く出していくブレインストーミングを実践した。
このうち、「実在しない人とコミュニケーションをとるにはどうしたらいいか」と問題設定をした班では、解決策に「しゃべる教科書」と「勝手に書いてくれるノート」を導き出した。しゃべる教科書を考案した理由には、「一人で黙々と勉強するよりも話しながらの方が効率的であり、先生に聞きに行けなくても教科書から教わることができる」などとした。
富田氏は最後に、「実現できないと諦めないでほしい。どのような事業でも応援する人は必ずいる。本気でやりたいならとにかくチャレンジを」と呼びかけた。
大船渡高の美術部長・大和佑夏さん(3年)は、来月開催する同部のイベントに向け、アイデアを出すきっかけにと参加。「具体的な方法を説明してもらい、いろんなやり方があると知った。自分主体ではなく、部員と話をして進めていく必要性も感じた」と話していた。
同事業は第2回の6月2日(木)以降、個々のビジネスプラン作成のためのプログラムを展開。誰も考えつかないようなアイデアを考える方法や顧客価値連鎖分析(CVCA)などを学び、最後は仕上げた自らのプランを発表する。講師は岩手大などが務める。
申し込み、スケジュールや場所の問い合わせは市商工港湾部起業支援室(℡26・4477)へ。