よりあい事業地域に浸透、社協など献身的に/住田町の〝居場所づくり〟

▲ 高齢者らが和やかに過ごす中心型よりあいカフェの「しょうわばし」=世田米

 住田町地域包括支援センターと町社会福祉協議会が平成27年度から新規・重点事業として展開し、住民交流や居場所づくりを目指す「よりあいカフェ」の初年度実績がまとまった。世田米商店街内に設置した中心型の「しょうわばし」は、1日あたりの利用者平均が30人を超えるなど、高齢者らが手を動かしながら気軽に語らえる場として定着。予想以上の好評ぶりに、社協などでは介護予防や社会参加促進に向けた手ごたえを得ている。

 

高齢者ら幅広く利用

 

 気仙川に架かる昭和橋の突き当たりに位置し、商店街沿いの旧中里水道屋を活用している「しょうわばし」。昨年6月2日にオープンし、毎週火曜日に開設している。今月24日も午前から高齢者を中心に30人近い住民が訪れ、女性陣は折り紙で壁に貼り付けるアジサイ飾りを制作。男性陣は将棋の対局などを楽しんだ。
 開設以降、よく来ているという世田米の菅野千枝子さん(78)。「ここだと、違う地域の人たちとも会って話ができる」。草取りなど「朝仕事」を済ませてから訪れ、来訪者や社協スタッフと談笑しながら手を動かした。
 これまでの開設日には、参加者が紹介した紙による鍋敷きづくりに励み、首都圏に住む大学生の孫に贈ったところ喜ばれたと笑顔で明かす。「今までやったことがないものをつくったりするけど楽しい。こういう場所がないと、家にいてばっかりになる」と話す。
 商店街を歩く人々にも「はまってがい」と声をかけ、施設周辺は自由に語らえる雰囲気が広がる。バスの待ち時間や美容店利用後に立ち寄るといった活用も。この日も席を譲り合い、参加者同士すぐに打ち解け、なごやかなひと時を過ごした。
 よりあいカフェ事業は、誰もが気兼ねなく寄り合える場を町内に設け、日中に一人で過ごしがちな高齢者や障がい者らの居場所づくりを図るもの。利用者間やボランティアとの交流を通して生きがいを見いだし、介護予防と社会参加を推進する目的もある。
 事業は町内の小地域単位で設ける「地域型」と、しょうわばしの「中心型」に分かれる。中心型は同センターと社協、一般社団法人・邑サポート、地域ボランティアらが連携を図り運営している。
 初年度は39回開催し、利用者は1217人。1回あたりの利用者数は31・2人となっている。地域の高齢者だけでなく、学童クラブを利用する児童たちが交流を深めたり、地域住民も差し入れで訪れる光景も多く見られた。
 しょうわばしは今後も、毎週火曜日の午前9時から午後4時まで開設。利用は無料。毎月第1火曜日はイベントデーとしており、6月7日は1周年イベントを予定している。
 また、同12日(日)には上有住にある福祉施設・アンルス内で中心型よりあいカフェ「あんるす」がオープン。毎週日曜日に開放し、近隣に位置する八日町地域などに暮らす高齢者らが自由に訪れ、お茶のみ話などを楽しむことができる。休日の運営となるため、社協などでは中高生ボランティアとの交流充実も目指す。
 地域型カフェも前年度、民家や集会所、自治会館など12カ所で開設。地域住民が運営を担い、多くが月2回程度定期的に開催した。前年度の総開催数は213回で、参加者総数は2704人。高齢者が気軽に外出し、社会参加できる場として定着しつつある。
 25日に開かれた社協評議員会でも、佐々木松久会長は「予想以上の利用者数に至った」と総括。町内高齢化率は41%を超え、他市町でも少子高齢化が急速に進む中、地域にある施設を生かした語らいの空間づくりは、今後も多方面から注目を集めそうだ。