5月14日は『碁石の日』、大船渡市が制定
平成28年6月4日付 6面
大船渡市は3日、5月14日を『碁石の日』に制定し、観光振興などを図っていくと発表した。同市では平成26年から市内外の有志らによる「碁石海岸で囲碁まつり」が催され、昨年には制定に向けた署名活動を経て、市議会で請願が採択されていた。今月10日(金)からは第3回のまつりが予定されており、まつり実行委などでは制定を受けてまつりの開催に弾みがつくとして、気持ちを新たにしている。
10日からのまつりに弾み
『碁石の日』制定に向けては、「碁石」をキーワードに復興・振興の機運醸成を図ろうと、囲碁まつりを開催する市内外の有志が活動を展開。まつりの実行委員長で故・木谷實九段を父に持つ日本棋院墨田支部長の木谷正道氏(68)=神奈川県平塚市、地元の碁石地区復興まちづくり協議会(大和田東江会長)が中心となり、市内外の視点から具体的な復興・振興策を検討してきた。
この中で浮かんだのが、景観や食、郷土芸能などの優れた資源がありながら、首都圏から遠く、他地域との違いを出しにくいといった諸課題。これらを踏まえ、『碁石の日(5月14日)』制定などの具体策を提案した。
これらの実現に向け、昨年4月から5月にかけて署名活動を行い、1万926人分の署名を添えた請願書を市議会へ提出。市議会の6月定例会で採択され、その後は制定に向けた動きを見守ってきた。
『碁石の日』の制定は、3日に市役所で開かれた臨時記者会見の場で発表。制定文によると、「三陸海岸を代表する景勝地である碁石海岸の名称の由来となった『碁石』にちなみ、『碁石』に関連するまちづくりを推進することにより、地域振興、観光振興及び文化振興を図るため、ここに『碁石の日』を制定する」としている。
戸田公明市長は「観光ビジョンによる観光振興を図っていくという流れをつくる中で、大きな柱になる取り組み。『碁石』という名前と『囲碁』がつながり、囲碁を通じて大船渡を外から盛り上げ、海外からも参加してもらおうという大きなうねりが来ている。行政としても連携をしながら取り組み、観光ビジョンの大きな柱の一つにしていきたい」と述べた。
制定を受け、木谷氏は「日本で初めての『碁石の日』であり、本当にうれしい。大船渡市が囲碁のまちとして知られるきっかけになる。今度の囲碁まつりでは、台湾からの参加者に市民の大歓迎が直接伝わると思う。市を挙げた取り組みを象徴する制定になった」と喜ぶ。
大和田会長(74)は「心待ちにしていたが、ようやく『碁石の日』が市民権を得られた。まつりを市全体で盛り上げる形に持っていけるのでは」と期待を寄せる。
市は今後、碁石海岸観光まつりを『碁石の日』に近い土曜、日曜日に設定して開催したい考え。碁石での散策会、自然観察会なども行っていきたいとしている。
10日から3日間開かれる3回目の囲碁まつりは「日台交流囲碁大会」と銘打って開催。初日は参加者らが囲碁列車で大船渡入りし、末崎町中森の熊野神社に石の碁盤などを奉納する記念式典などを計画。
11日は盛町のリアスホールを主会場に、日台女流トップ対局や棋士による無料指導碁、日台盲学校囲碁大会などを予定する。
実行委側では今後、大船渡で全国盲学校囲碁大会や世界アマ囲碁選手権などを開催すべく、誘致を進める考え。そのうえでも『碁石の日』制定は、機運醸成につながると期待を寄せている。