償還開始も累損金拡大、三陸木材とランバーが総会/住田
平成28年6月4日付 1面
住田町世田米の木工加工団地内に構える三陸木材高次加工協同組合(中川信夫理事長、三木)と、協同組合さんりくランバー(同代表理事、ランバー)は3日、三木会議室で通常総会を開いた。厳しい経営状況が続く中、三木は6229万円、ランバーは4047万円の純損失を計上し、いずれも累計損失金が拡大。両組合は住田町から約7億9000万円の公金融資を受け、26年度から年額約3100万円を償還する計画となっていたが、昨年12月から返済を開始。年度内累計は222万円であることが明らかになった。
利益確保へ〝改革途上〟
町への返済 27年度は222万円
ランバーの総会には、8組合員のうち、全事業所・団体が出席。議事では27年度の事業報告や28年度の事業計画案、役員改選など7議案を原案通り承認した。理事6人が再任され、中川氏をはじめ役職体制に変更はない。
売上高は2億2255万円、純損失は4047万円を計上。次期繰越損失金は4億1473万円に増えた。
27年度末正職員は26年度比4人減の3人。28年度はパート、研修生を含め9人体制の計画という。
引き続き三木の総会が行われ、組合員となる18事業所・団体の代表者のうち、13人が出席。議事では27年度の事業報告、本年度の事業計画と収支予算など7議案を原案通り承認した。役員改選では理事8人が再任となり、代表理事は引き続き中川氏が務める。
売上高は13億4494万円、純損失は6229万円を計上。次期繰越損失金は7億8918万円に増えた。
事業報告によると、集成材業界における製品の荷動きは鈍く、生産調整する企業も見られた。為替の円安進行によるラミナ等価格の上昇に見合った製品価格への転嫁も厳しく、利益の出にくい経営環境が続いた。
損失金計上は2期連続。27年度は経営的にも困難な局面に見舞われたといい、同じ団地内に工場を構えるけせんプレカット協同組合が資金繰りや業務面などで全面的に協力した。
状況打破に向け、昨年10月からは同組合の泉田十太郎専務を支配人として招き、経営体制を改革。品質向上やコスト削減を進めた。
固定負債のうちこれまで4億円だった住田町からの長期借入金が3億9778万円となっており、220万円余り減少。組合では12月以降、毎月償還を続けている。理事らが役場を訪れて町長に直接渡しており、28年度に入っても継続している。
これまで廃材として扱っていたものををけせんプレカット協同組合で製品化。その売り上げの中から町に償還している。
三木の27年度末時点での従業員は36人(パート除く)で、26年度比で20人減少。この売上金の残りは従業員の賞与に充て、組合一丸となった経営改善を図っているという。
三木、ランバーの現状について多田欣一町長は「従業員からも『返す』という意思が伝わってくる。改善の兆しはみられるがまだ万全ではなく、時間がかかるだろうが、推移を見守り、応援していきたい」と話す。
本年度の経営について中川代表理事は「黒字化の見通しは出てきている」と語る。4月以降、安定運営に向けた毎月の売上高目標を三木は1億2000万円、ランバーは2000万円と設定。4、5月の推移をみるとランバーは達成し、三木では目標に近い実績が出てきているという。
両組合は同19年に経営危機が判明。町から約7億9000万円の公金融資を受けて再建を進め、26年度から年度当たり約3100万円を町へ償還する計画だった。しかし、同年度は消費増税の影響などを受けて7期ぶりの赤字を計上。昨年5月の最終期限までに返済ができていなかった。
本年度の売上計画はランバーが2億5036万円で、三木は13億3375万円。利益はランバーが875万円で、三木は1880万円を見込む。
一方で、町に対する年度計画通りの償還は厳しい見通しを示す。三木理事の一人は「従業員一人あたりの売上高は上がっている。28年度中に経営安定化の軌道に乗せ、計画通りの償還は29年度以降からになるだろう」と語る。