国内初の施工例に、末崎地区に新設の水門「起伏式フラップゲート」/大船渡漁港
平成28年6月5日付 1面
東日本大震災から5年余りが経過した沿岸被災地では、漁港海岸の整備が進んでいる。防潮堤など津波防災施設も本年度で大規模工事の発注が完了する見通しだ。こうした中、大船渡市末崎町の大船渡漁港(細浦地区)に新設される防潮堤には、起伏式フラップゲートの水門が設置される方針が決まった。津波の波力によって起き上がり堤内への浸水を防ぐ水門で、国内では初の施工例となる。本年度中に一般競争入札で公告される見通しで、10月の公告予定となっている。
県が28年度中に入札公告
県が公表しているロードマップによると、漁港海岸は県管理の6海岸、市町村管理の12海岸が本年度中に完成の予定。

水門の完成イメージ(県提供)
防潮堤の復旧工事に合わせて行う無堤区間の防潮堤新設は気仙両市を含む県内10カ所で行われる。本年度中での全地区着工、30年度末までの完成を目指す。
細浦地区の防潮堤計画については平成24年から住民向けの説明会が開始され、これまでに10回以上議論の場が設けられた。開始当初は反対意見も多かったが、地域住民は用地活用や景観の観点から「水門案」に賛成。各町内会での説明会でも全会一致で水門案が要望された。
25年10月には、細浦地区六地域公民館協議会から「地区住民の総意として『細浦湾口』を水門式に」という要望書が出された。
漁港利用者からは津波来襲時の漁船沖出しの関係で反対意見も挙がったが、最終的には理解を得られたことから、県では水門式での工事を進めていく方向とした。
起伏式フラップゲートの水門は、浮上動作の際は扉体内に空気を送り込み、係留フックを外すことで浮上して起立準備となる。あとは津波の波力によって起立し、堤内への津波浸入を防ぐほか、浮上後は一定の高さまでしか下がらないため、引き波時に港内の水位を一定に保つことで漁船の転覆を防ぐことができるという。
操作方法については、遠隔操作システムを計画中。全国瞬時警報システム(J─ALERT)による緊急信号を受け、統制局(県庁、釜石合庁)が衛星回線を用いて全県の対象施設を自動で一斉閉鎖する制御方法で、水門閉鎖までの時間については検討中。
海岸高潮対策事業として整備される細浦地区防潮堤は延長約480㍍で、水門部は41㍍、うちゲート幅は32㍍。高さはT・P(東京湾平均海面)7・5㍍となる。
港内の漁船の避難方法など、運用面での協議は今後も継続して行っていく。
県沿岸広域振興局水産部大船渡水産振興センターの髙橋英彦漁港復旧課長は「地域住民の方のためにも、早く整備を進めていきたい」と話している。





