「理事、議員、当局で議論を」、三木 ランバー問題で町長/住田町議会

▲ 多数の傍聴人が訪れた中で行われた一般質問=住田町

 住田町議会6月定例会は14日に開会し、会期を17日(金)までの4日間と決めたあと、瀧本正德、阿部祐一、林﨑幸正、村上薫(いずれも無所属)各議員の一般質問が行われた。厳しい経営情勢が続く三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)問題は3議員が追及し、町が融資している7・9億円の償還や立木未払金返済への見通しなどで論戦。答弁で多田欣一町長は9月議会前に両組合理事や議員、町当局が一堂に会し、返済などに関する議論の場を設けたい意向を表明した。住民説明は、両組合新体制移行から1年を迎える9月末の状況をふまえ判断するとした。


時期は9月議会前に


 27年度の決算状況は三木が6229万円、ランバーは4047万円の純損失を計上し、いずれも累計損失金が拡大。2期連続赤字で、経営的にも困難な状況に直面したという。
 同じ加工団地内に構えるけせんプレカット事業協同組合から資金繰りを含め全面的な支援を受けた。昨年10月からは生産体制を見直し、利益確保に向けた改善策を進めている。
 町からの公金融資は26年度から年額計約3100万円を償還する計画となっていたが、同年度は未払い状態。
 27年度は廃材として扱っていたものを同組合で製品化し、その売上金の中から12月以降返済を続け、年度内累計は222万円だった。
 経営改善策の現状を質した林﨑議員に対して多田町長は、2シフトから昼間だけの1シフトとして確実に利益を出せる操業を進め、多品種製造から的をしぼった体制に移行していることを説明。
 そのうえで「経営安定化の改善成果の兆しはみられると思っているが、まだ途上にある。早期経営再建、安定化を図っていただきながら、確実に利益が出る体質となり、そのうえで貸付金の納付をお願いしたい」と述べた。
 林﨑議員は「本当に返せるのか。踏み込んだ対応を」と再質問。多田町長は「一定の経営計画ができた時点で、返済について私も含め、議員と両組合の理事、できれば出資者も含めて一緒に議論する場を設けたい」と語り、時期のめどは9月議会前とした。
 阿部議員は償還状況や、住民説明機会の見通しを質問。当局は今月までの返済は323万円としたが、26、27年度分を合わせた本来返すべき額6200万円に比べると少額にとどまる。議員は「(支払いが遅れている償還金が)大きくならないうちに連帯保証人が責任を負うべき。見切りをつけなくてはならないのでは」と迫った。
 横澤孝副町長は「満額ではないが支払いはされている。その状況を見ながら決めたい」と答弁。説明時期に関して多田町長は「9月末で新たな体制となり1年となる。将来のある程度の見通しが立てられるのでは。その辺を見極めながら考えたい」と述べた。
 トップ登壇の瀧本議員は町有林管理の中で、立木代金未収状況を質問。当局はランバーに対しては2憶2584万円とし、早期経営再建を後押ししながら回収を進める姿勢を掲げた。
 さらに同議員は、未収金回収に〝時効〟が発生するのかと追及。千葉純也林政課長は「町とランバーの間で未納確認書を取り交わしており、それが未収金消滅の中断になる」と説明した。
 村上議員は、町の観光政策と所得向上対策について論戦。世田米商店街に整備された「まち家世田米駅」や種山、滝観洞といった観光資源がある中で「町全体の観光推進計画を早期に策定すべき」「滝観洞の観光センターは高低差がありすぎる。洞窟入り口部分の拡張や安全対策も手をつけるべき」などと述べ、見解を求めた。
 多田町長は「観光にかかわる人たちに集まってもらい、滝観洞も含めて今年一年議論していただく中で観光推進の方向性を導きだしたい」と語った。時期について当局は、9月からとしている。