役場向かいに木造新築、運動公園南側の隣接地/大船渡消防署住田分署

▲ 住田分署の新築移転予定地=世田米

 住田町は、本年度と来年度の2カ年で大船渡消防署住田分署の移転新築事業を進める。平成26年に完成した木造の役場新庁舎と、野球場などがある運動公園間に用地を確保し、木造での整備を計画。今夏の設計業者選定を経て、年度内に工事施工業者契約の議会提案を行う計画を掲げる。地域の防災力向上といった面でなく、今後控える官庁舎再整備、木造公共物が集積することによる「森林・林業のまち」発信強化、気仙川や世田米商店街をはじめ周辺環境との調和といった面でも注目を集めそうだ。

 

来年度までの2カ年事業

 

 世田米清水沢地内に構える現在の住田分署は、大船渡地区消防組合発足翌年の昭和49年に建設。敷地面積は888平方㍍、建物の延床面積は301・5平方㍍となっている。
 老朽化が進む中、これまで修繕を重ねながら使用。さらに駐車や訓練スペースを満足に確保できず、敷地拡大も見込めないといった手狭さも課題となっていた。
 町は今月、ホームページ上で設計業務に関する公募型プロポーザルの実施予定を公表。14~17日に行われた町議会6月定例会の一般質問や補正予算審議の中でも、複数議員が動向を質した。
 当局答弁などによると、建設用地は役場庁舎北側の町道向かいで、運動公園南側(野球場右中間側)に隣接。5筆2847平方㍍分は4月4日付で売買契約を交わし、用地取得をすでに終えた。また、その際に隣接する3筆1015平方㍍分は寄付を受けたほか、運動公園拡張の際に取得していた残地などを含めると約4900平方㍍の敷地面積を確保している。
 全国的に高評価を受ける役場庁舎に続き、木造で建築する方針。議員らは林業資源を生かす新たな産業化の観点から注目を集める木材パネル・CLT(直交集成板)導入にも関心を寄せるが、町では設計委託業者からの具体的な提案内容を受けて決める姿勢。工事は指名競争入札を考え、具体的な方法は今後検討する。
 町は住田分署を役場新庁舎に続き、今後実施される官庁舎再整備の方向性を決定づけるものと位置づける。公募型プロポーザルでは地域特性や周辺環境との調和などを理解し、豊かな創造性や高い技術力、豊富な経験などを有する提案者を選ぶとしている。
 プロポーザル予告によると、延床面積予定は約750平方㍍。総事業費は新築工事費や敷地造成工事費などにより4億円程度の見込み。
 公募は今月末から7月下旬までの期限で行う方針。1次審査は7月下旬ごろ、2次審査は8月上旬を計画。1次は書類審査で、2次のプレゼンテーションは公開したい意向を示す。
 8月中には設計業務の発注を行い、来年の3月議会には工事請負契約の議案を出したい意向。現時点では30年3月の竣工を描く。
 プロポーザルでは選定委員として大学関係者ら7人に委嘱する方向で調整。新施設は、古き良きたたずまいが残る世田米商店街や昭和橋近くに移る中、環境調和なども含めて整備のあり方を考えるべきといった提案を受けているという。
 建設予定地周辺では、公共施設再編の動きが進む。役場旧庁舎や倉庫、蔵は本年度中に解体されるほか、図書館などが入る生活改善センターは来年度以降の改築予定。近隣には昭和55年に竣工し各種催事に対応する大ホールを備えた農林会館、平成6年に完成した社協事務所などが入る保健福祉センターなどがある。