2016参院選/18日間の舌戦火ぶた、予想の3氏が立候補

160623-1 岩手選挙区立候補者県都に第一声響く
経済、平和、復興 訴え強く
岩手選挙区

 

 第24回参議院議員通常選挙(改選121)は22日公示された。気仙を含む岩手選挙区(改選1)には、届け出順に、政治団体幸福実現党の石川幹子氏(51)=盛岡市、自民党公認で公明党推薦の田中真一氏(49)=盛岡市、民進、共産、社民、生活各党が推薦する野党統一候補で無所属の木戸口英司氏(52)=花巻市=の新人3氏が立候補。県都で曇り空をついて第一声を上げ、18日間にわたる選挙戦の開幕を告げた。投票は7月10日(日)に行われ、即日開票される。

 立候補届け出は盛岡市の県盛岡地区合同庁舎で午前8時30分から行われ、午後5時に締め切られた。立候補が予想された3氏以外に届け出はなく、改選議席1を3人で争う少数激戦突入が確定した。
 各候補は同市の目抜き通りや選挙事務所前で、それぞれ第一声を上げた。集まった支持者たちを前に、国政とのパイプ役としての決意や党の主要政策などを力強く訴えたあと、気勢を上げて選車に乗り込んで各地での遊説に出発していった。
 今回の選挙は、7月25日の任期満了に伴うもの。選挙権年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられてから初めての国政選挙で、現政権の経済政策「アベノミクス」、平和安全法制、震災復興と災害対応などへの評価が問われる。
 与党の自民は勝敗ラインとして選挙区、比例合わせて過半数の61議席を掲げ、実績を訴えながら支持拡大を図る。
 一方の野党は選挙区で全国に32ある改選数1の「1人区」で統一候補を擁立して対決姿勢を鮮明にし、前哨戦を繰り広げてきた。
 1人区の一つである岩手選挙区は、生活副代表で2期目の現職・主浜了氏(66)の勇退を受け、新人3氏が激突。選挙戦は与野党対決が基軸となり、実質的に田中氏と木戸口氏の一騎打ちの構図で展開されるものとみられる。石川氏は消費税減税や国防強化といった訴えの浸透を目指す。
 投票は7月10日午前7時から各市町選挙管理委員会設置の投票所で行われる。期日前投票はきょうから7月9日の午前8時30分から午後8時まで受け付ける。会場は大船渡市が市役所本庁のほか7月4日から三陸支所、綾里、吉浜両地域振興出張所(午後5時15分まで)でも実施。陸前高田市は高田地区コミュニティセンター(市コミュニティホール)、住田町は町役場。
 県選管によると、21日現在の選挙人名簿登録者数は、県全体で109万4003人(男52万447人、女57万3556人)。大船渡市は3万2933人(男1万5639人、女1万7294人)、陸前高田市は1万7504人(男8455人、女9049人、)、住田町は5163人(男2502人、女2661人)。
 このうち、今回から新たに加わる18、19歳は県全体で2万3842人(男1万2253人、女1万1589人)。大船渡市は721人(男382人、女339人)、陸前高田市は381人(男217人、女164人)、住田町は73人(男40人、女33人)で、気仙は合わせて1175人(男639人、女536人)。
 新有権者分もあって、平成25年7月3日の前回選登録日に比べ、県全体は469人、大船渡市は22人、陸前高田市は35人それぞれ増えた。一方で住田町は218人減った。

 

160623-1第一声石川石川幹子候補(幸・新)

今は減税が必要

 

 幸福実現党新人の石川候補は午前9時30分から盛岡市大沢川原の事務所で出陣式を開き、その後、事務所前で第一声を上げた。
 党県本部の佐々木栄一政調会長は、安倍政権の経済政策「アベノミクス」に一定の理解を示しながらも「たしかに成果はあった。株価は上がり、効果は大いに見られた。ところがこれに水をさすように消費税を8%に上げた。その結果、経済は失墜している。低迷から抜け出せない状態」と指摘し、「税金を低く抑えていきながら規制緩和していく小さな政府を目指している。これこそが日本が繁栄する道ではないか」とした。今回の野党共闘について「考え方も芯もまったく違う方々が集まっている。岩手においては長らく民主党政権が強い影響力を持っている時期があったが、今回も野党連合にも支持を集めるのか。自民でもない、野党でもない、第3の道、新しい選択として幸福実現党を支援いただきたい」と訴えた。 
 このあと、石川候補がマイクを握り「熱い思いをもって18日間、全力で戦う。この岩手の幸福、日本の幸福を願い、わたしの考え、党の政策を伝えていく」と力を込めた。
 また「岩手、日本を愛しているから黙っていられない。消費税が5%から8%になったことで、家計には大きな負担がかかり、消費は落ち込み経済が低迷している。今の日本には減税が必要」などと党の掲げる政策を挙げ「国を正していく。そのような使命でいる。わたしの訴えを多くの皆さんに聞いていただけるよう全力で駆け抜けていく」と支持を呼びかけた。

 

160623-1参院選(田中)縦3dにトリミングお願いします田中 真一候補(自・新)

県民の声を形に

 

 自民党公認の田中候補は午前9時過ぎ、盛岡市内丸の桜山神社そばで第一声を上げた。
 統括責任者兼選対本部長の鈴木俊一同党県連会長が「ねじれ国会の中では物事が進まず、安定した政治基盤のもとでやるべきことを前に進めていくことが大事。どうかご支持を」とあいさつ。
 高橋ひなこ、橋本英教、藤原崇各衆議院議員が激励したあと、3年前の前回選で戦い田中候補を破った無所属の平野達男参議院議員もエール。「何としてもこのラガーマンを岩手県の代表として送り出そう。それが岩手の流れを変える大きなステップとなる」と呼びかけた。
 拍手に迎えられマイクを握った田中候補は「岩手を歩きながら政治とは何か考えてきた。一人ひとりに寄り添い、その声を形にするのが政治。そのことに気づくことができたこの3年間は、厳しくもありがたい時間となった」と振り返った。
 本県が抱える課題にも言及。「震災からの復興を一刻も早く完遂することが一番の課題。同時に人口減少するこの岩手で、活力ある地域をつくり出さなければならない。基幹産業である第一次産業の所得を増やし、豊かな資源を生かし観光振興につなげるのも大事だ」と訴えた。
 「この選挙戦、最後まで行方が分からない厳しいものとなる」と見据えたうえ、ラグビー監督時代の経験に触れ、「どっちが勝ちたいのかという執念の強いほうが勝つ。わたしは絶対に倒れない。それだけ悔しい思いをしてきた。この18日間、駆け抜けるわたしにどうか力添えを」と求めた。

 

160623-1第一声木戸口2段半木戸口英司候補(無・新)

新しい政治 岩手から

 

 野党統一候補として無所属で臨む木戸口候補は、午前9時過ぎから盛岡市中央通で第一声を上げ、共闘の輪を広げようと訴えた。
 森越康雄総括責任者のあいさつに次いで、民進党県連代表の黄川田徹衆議院議員、共産党県委員会の菅原則勝委員長、社民党県連代表の小西和子県議、生活の党副代表で現職の主浜了参議院議員が激励。
 このうち、黄川田氏は「過去24年間自公に議席を渡したことはなく、主浜さんから木戸口さんにしっかりバトンを渡さねばならない。市場、競争主義だけでは日本を支えられない。しっかりしたセーフティーネットをもって中間層を分厚くするのが政治の仕事だ」と結束を呼びかけた。
 達増拓也知事も「沿岸では多くの人が生活やなりわい再生のため戦っている。復興の実態をオールジャパンの問題としていくため、詳しい人が国会に出ていく必要がある」などと支持を訴え、連合岩手の豊巻浩也会長は「額に汗して働く人が報われる、その思いをたくす」と述べた。
 最後にマイクを持った木戸口氏は、「政治の危機に立ち上がった4党と、新しい政治に期待する多くの県民とともに、絶対にこの戦いに勝ってみせる」と決意を示した。
 安保法制の廃止、消費増税反対、被災者・被災地に寄り添った復興の推進、TPP(環太平洋連携協定)の批准反対、原発に頼らない社会の構築などへの意欲を語り、「岩手は改革の政治の源流。わたしたちは伝道者。岩手から新しい政治をおこしていこう」と力を込めた。