期待高まる高屋敷工区、29年度内供用目指す/国道397号「津付道路」

▲ 現道に沿った形で津付道路と同規格の道路を新設する計画となっている高屋敷工区=住田町

 住田町を通る一般国道397号では津付道路の供用から1年8カ月が経過し、同道路の大船渡側につながる全長約1・5㌔の高屋敷工区早期完成への期待が高まっている。県は本年度、改良工事としてこれまで整備した約500㍍の区間から大船渡側に続く約80㍍で道路新設を進めるほか、さらなる延伸に向けた工事発注事務も進める。平成29年度末までの供用開始を目標としている。

 

本年度も改良工事展開

 

 国道397号は大船渡市を起点とし、住田町や奥州市、秋田県東成瀬村などを経由して横手市に至る全長140㌔余りの路線。気仙住民にとっては東北新幹線の〝最寄駅〟である水沢江刺駅をはじめ奥州市などへの移動に欠かせない路線であるほか、大船渡港を利用した物流でも重要な役割を担う。
 災害発生時には優先的に交通確保を図る緊急輸送道路にも指定。一方で、とくに住田町世田米小股に位置する国道107号との交差点から種山に近い栗木トンネルまでの区間は急カーブ、急勾配が多く、冬期間に入ると積雪や凍結で交通の難所と化す。長年の地域課題であり、対策が急がれていた。
 この区間内で計画された津付道路は、国道397号の一部が津付ダム整備によって水没する計画であることから、17年度に付け替え国道として事業着手。東日本大震災後、ダム建設は中止となったが、道路整備は三陸沿岸道路(復興道路)を補完する復興支援道路に位置づけられていたことから整備が続いた。
 道路延長は2660㍍で、区間内にトンネル3本、橋梁3基を建造。大型車のすれ違い困難といった課題があった中、幅員は6・5㍍から8~9・5㍍に改善。ほぼ直線のルートとなり、26年10月26日に供用開始を迎えた。
 これに並行し、大船渡側に隣接する高屋敷工区でも道路改良事業を展開。津付道路から約500㍍にわたっては現道に沿う形でコンクリートの壁が続き、新たな道路整備の進ちょくを実感できる。今年5月からは、さらに大船渡側の約80㍍で道路を新設する工事が進められている。
 現道よりも14㍍高い位置に道路を設け、現道沿いには壁となるコンクリート施工も行う計画。工期は12月までとなっている。
 本年度はさらに大船渡側に延ばす工事発注も予定。県は、高屋敷工区全体の完成目標は平成30年3月までと掲げる。
 急カーブ、急勾配が解消されて津付道路と同規格の道路環境が広がることで、多方面に波及効果をもたらす。期待される走行時間短縮や冬場の安全確保、物流円滑化は、気仙3市町の産業振興や地域活性化にもつながる。
 県は今年4月に、同線沿いにある道の駅・種山ヶ原「ぽらん」で、ドライバーらに津付道路の利便性を尋ねるアンケートを実施。開通前の道路と比べた走りやすさについて「満足」「やや満足」と答えた割合は9割を超えた。
 良くなったこととして「周りが見やすい」「カーブが少なく走りやすくなった」「時間の短縮」「トンネルが明るい」などの声が挙がった。一方で自由意見では、高屋敷工区の早期整備要望も。津付をはじめ周辺では走行性が向上する中で高屋敷工区沿いの厳しい道路環境が浮き彫りとなり、早期完成への期待が高まっている。
 県大船渡土木センター住田整備事務所の北村安所長は「津付道路に関するアンケートでも、早期整備を求める声を受けた。コンテナを積んだ大型車両走行も多く、着実に整備を進めたい」と語る。