水産・経済振興に期待、鎌田水産新工場整備へ/大船渡の津波復興拠点で
平成28年6月24日付 1面

大船渡市赤崎町の水産会社・鎌田水産㈱(鎌田仁社長)の大船渡工場(仮称)新築工事安全祈願祭は23日、大船渡町の津波復興拠点整備事業区域内のかさ上げ地で開かれ、関係者が工事の安全を祈った。新工場が完成すれば、本社工場と合わせて魚の処理能力は震災前より大幅に上がる。関係者は雇用創出や市の水産・経済振興へ期待を寄せた。工場の稼働開始は来年9月ごろを見込んでいる。

大船渡工場(仮称)の建設予定地=同
安全祈願祭には、同社や施工業者、市などから関係者ら約40人が出席。神事で工事の安全を祈願した。
神事後、鎌田社長は「この工場が震災後の新たなスタートとなる。これから水揚げ量がどうなるかは分からないが、市にますます水揚げがなされれば」と水揚げ増強に期待を寄せるとともに「水産加工に対する雇用環境に配慮した工場にしていきたい」とあいさつ。
安全祈願祭後は大船渡プラザホテルで直会(なおらい)となり、戸田公明市長が「津波復興拠点整備事業区域は、復興の進みを実感できる場所。雇用を生み、特色ある新しい工場が完成し、末永く稼働することを祈る」と述べ、同社の鎌田和昭会長も工事の無事を願った。
震災前に大船渡町内にあった同社の工場は津波で被災したが、その後稼働を再開。昨年12月に土地区画整理事業に伴い解体となった。
新工場は、津波復興拠点整備事業区域内の特定業務施設用地(市有地)と換地先の商業地区にまたがる区画に整備。
鉄骨造2階建てで、延床面積は5760平方㍍。1階部分の3465平方㍍には原料チルド庫、荷捌場、凍結室、冷蔵室、2階部分2295平方㍍には事務室や品質管理室、選別・梱包室などが設けられる。雇用は30人ほどを見込む。
前工場よりも面積が広く、生産能力もアップしており、大船渡市魚市場にも近いことから新鮮な魚を仕入れて加工することができる。
また、将来的には物産施設も併設して魚などを販売していく考え。