初の「警報」を発表 、ツキノワグマ大量出没で/県

 160628-6 ツキノワグマ出没状況月別推移県環境生活部自然保護課は23日、県全域に「ツキノワグマの出没に関する警報」を発表した。
 県では、昨年のブナ豊作により本年度は熊の大量出没が見込まれることから、今年3月に「ツキノワグマの出没に関する注意報」を発表した。今年4~6月のクマ出没件数(6月19日現在)は1068件で、山林内などにおいて7件9人(前年同期6件6人)の人身被害が発生している。
 出没状況の推移をみると、本年度は4月が133件(前年比31件増)、5月が434件(同147件増)、6月(19日現在)が501件(同169件増)と前年から大幅に増加している。
 クマの出没件数は夏場にかけて増加する傾向にある。今年は、ここ数年間で最も多い出没状況であることから、山林内をはじめ人里周辺にクマが頻繁に出没することによる人身被害の増加が予想される。
 これにより、県ではより一層の注意喚起を行い、被害防止対策について周知する必要があることから「ツキノワグマの出没に関する注意報等発表要領」に基づき、要領制定以降初となる警報を発表。
 被害に遭わないための予防策として、山林では▽複数人でまとまって行動し、鈴やラジオで音を出しながら自分の存在をクマにアピールする▽山菜採りやキノコ採りでは、ラジオで音を出すとともにクマ撃退スプレーの携帯を心がける、人里・農地などでは▽廃棄野菜や生ごみなどクマのエサとなる誘因物を放置しないようにする、と例を挙げている。
 本年度は気仙地区での被害は発生していないが、近隣の遠野市や釜石市では山菜取りの男性が襲われており、遠野市の40代男性は重傷を負っている。このほかにも、朝から昼にかけて登山や山菜取りでの入山者が被害に遭っている。
 今後、8月にかけて出没はさらに多くなるとみられており、県は警戒を呼びかけている。