2016参院選/前半の情勢

▲ 気仙含む岩手選挙区は3氏による争いが展開されている=大船渡市

気仙も田中、木戸口両氏競る

与野党対決軸に選挙戦
公示から1週間
石川氏は広がり欠く

 

 第24回参議院議員通常選挙は、29日で公示から1週間となる。岩手選挙区(改選1)には届け出順に、政治団体幸福実現党の石川幹子氏(51)=盛岡市、自民党公認で公明党推薦の田中真一氏(49)=同、無所属で民進、共産、社民、生活各党が推薦する木戸口英司氏(52)=花巻市=の新人3氏が立候補し、7月10日(日)の投票へ向けて激しい選挙戦を展開。気仙地区でも田中、木戸口両氏が競り合い、与野党対決の様相を呈している。石川氏は支持基盤が薄く、広がりを欠いている。

 22日に公示された今回の参院選。岩手選挙区は24年ぶりの議席確保を目指す自民、公明の与党側と、平和安全法制など政権にノーを突き付ける民進、共産、社民、生活の4野党連合を基軸とした選挙戦が繰り広げられている。
 田中氏には今回、民主政権で復興大臣を務め、前回選で無所属に転じた平野達男参議院議員=北上市=が「岩手の選挙の流れを変えるステップだ」として支援につき、復興推進の観点からも与党とのつながりの必要性にアピールを強める。
 自民は改選議席の過半数となる61を勝敗ラインと位置付け、改選数1の選挙区「1人区」の趨勢を重視。気仙にも高木毅復興大臣や前復興大臣政務官の小泉進次郎衆議院議員を送り込むなど力を入れ、友党の公明とは比例代表での連動を見せる。
 対する野党側は、昨年の知事選を源流とする共闘を全面に打ち出す。今回は平和安全法制への反対をはじめ政策協定を結んだうえ、統一候補の木戸口氏を推す。連合をはじめとする労働団体も運動を下支えしている。
 気仙では現段階で各党ごとの運動が目立っているが、民進県連代表の黄川田徹衆議院議員は「民進、生活でたもとを分かった経緯はあるが、今回は(生活に近い)知事と(民進の)田村誠議長も県政の両輪として力を合わせ応援している。気仙でも同じで、各党が力を合わせて勝利を目指している」とする。
 統一候補に木戸口氏を擁立したのに伴い、共産は当初選挙区での立候補を予定していた吉田恭子氏(35)=盛岡市=を比例代表に回したが、各党ごとの候補もおり、比例で足並みをそろえられるかは不透明だ。
 石川氏は消費税減税や国防強化、教育の見直しなどを訴えて独自の運動を展開。
 ただ、気仙には確固たる基盤を確立できておらず、広がりを欠いている。
 平成25年7月の前回選、岩手選挙区は平野氏と田中氏含む新人5人の争いだった。当時の民主を抜け無所属で臨んだ平野氏が24万票余を経て当選。田中氏は16万票余で次点。以下、生活の関根敏信氏が約9万1000票、民主の吉田晴美氏が約6万2000票、共産の菊池幸夫氏が約4万6000票、幸福の高橋敬子氏が約8000票。
 気仙では平野氏が1万4138票とトップで、以下は田中氏7996票、吉田氏5065票、関根氏4358票、菊池氏3038票、高橋氏417票だった。
 県全体、気仙とも平野氏と田中氏の得票数合計は野党側の候補分を上回るが、当時の平野氏獲得票には分裂前の民主支持層や特定の支持を持たない浮動層も多く含まれているとみられ、今回の動きに単純に照らし合わせることはできず、有権者の判断が注目されそうだ。
 今月21日現在の選挙人名簿登録者数は、県全体で109万4003人(男52万447人、女57万3556人)。大船渡市は3万2933人(男1万5639人、女1万7294人)、陸前高田市は1万7504人(男8455人、女9049人)、住田町は5163人(男2502人、女2661人)。