「自身の経験伝えて」 熊本にボラ拠点開設、福岡の支援者/気仙住民に来県呼びかけ

▲ 熊本県山鹿市の日帰り入浴施設がボランティア向けに開放される

 熊本地震の被災地復興支援のため、熊本県山鹿市菊鹿町に7月1日、ボランティアを対象とした無料宿泊施設がオープンする。福岡県京都郡みやこ町と、同町社会福祉協議会、社会福祉法人犀川福祉会による共同開設で、東日本大震災後に気仙での支援を展開してきた同法人の阿部俊之理事長(63)は、「大船渡や陸前高田の皆さんに利用してもらい、ぜひその経験をこちらの被災者に聞かせてほしい」と呼びかける。
 阿部さんは平成23年秋から、「お出かけボランティア」として仮設住宅住民の外出などを支援。1年に2回のペースで福岡から気仙へ訪れて交流を深めるとともに、九州と東北の人々もつないできた。  
 気仙での支援活動は発災から5年を機に一区切りとしたが、今年4月に熊本地震が発生しボランティアニーズが高まったことを受け、「三陸の人たちに熊本へ来てもらう手段はないか」と模索。地元・みやこ町、町社協と協力し、もともと温泉旅館だった日帰り入浴施設「菊翠苑」を、支援者の活動拠点としてオープンする運びとなった。
 ここを「ぜひ気仙の方にもご利用いただきたい」と阿部さん。まだまだ大変な状況が続く三陸の被災者のことも十分理解しているが、「これから仮設住宅への入居が始まる熊本の人々は、不安でいっぱい。皆さんから『こんなことが大変だった』『こういうことに備えるといいよ』といった経験を聞かせていただくだけでも、大きな力になると思う」と語る。〝ボランティア〟と気負わず、話し相手として訪ねてほしいという。
 宿泊所は男女別の相部屋だが、布団の用意はあり、温泉の利用料300円だけで泊まることができる。ごみの処理等は各自にお願いする。定員はあわせて20人。申し込み多数の場合は遠方の人、仮設住宅での生活支援ボランティアを優先する。
 申し込みは阿部さん(℡080・8374・4339)か、みやこ町社協の田中さん(℡080・8388・6137)へ。連絡は必ず前日までに行うこと。
 阿部さんは、「羽田空港から北九州空港へ飛んでくだされば、空港までは迎えに行きます」とし、九州で気仙の人々と再会できることを願っている。