救助技術で全国切符、「ロープ渡過」で32年ぶり/大船渡地区消防組合の山田さん

▲ 本番と同じレスキュー服に身を包む山田副消防士長=大船渡消防署

 先月29日に矢巾町の県消防学校で行われた第40回消防救助技術県大会(県消防長会主催)で、大船渡地区消防組合消防本部(村上芳春消防長)の副消防士長・山田隆一さん(25)がロープブリッジ渡過で優勝し、全国大会への切符を手に入れた。この種目で同消防本部から全国大会に出場するのは32年ぶりの快挙。8月に愛媛県で行われる大舞台に向けて練習に熱がこもっている。

 消防救助技術県大会は、県内12消防本部の若手消防士らが出場して毎年行われている。今年は95チーム、243人が障害突破や引揚救助など、チーム・個人競技合わせて7種目にそれぞれ挑んだ。
 ロープブリッジ渡過は水難事故を想定した訓練で、建物と建物の間に張った長さ20㍍のロープを往復するもの。前半はロープに体を乗せて進む「セーラー渡り」で、後半はヒザの裏にロープをひっかけ、体がロープの下になる体勢で進む「モンキー渡り」で競技しなければならず、「個人種目で最も過酷」といわれる。
 タイムのほかに正確さも問われ、減点項目に抵触し競技開始時に与えられる持ち点100点を減らされると入賞対象にならない。
 山田さんは自己ベストとなる19秒を記録し、減点もなく出場13人中1位に輝いた。出場順が最初から2組目だったことから、後に続く選手たちの競技を「ヒヤヒヤしながら見ていた」と笑う。
 同消防本部からの出場者が県大会で優勝し、全国にコマを進めるのは平成26年以来2年ぶり、この競技に限ると昭和59年以来32年ぶりの快挙となった。
 26年は広島県で発生した土砂災害のために大会が中止されたため、実際に出場したのは平成25年が最後。山田さんは、この年も2人1組でタイムと正確性を競う「ロープ応用登はん」で全国に挑んでいる。
 個人種目は一度優勝すると再度出場できないルール。ロープ応用登はんはペアを変えると出場できるが「せっかくなので違う種目にチャレンジしたい」と2度目の栄冠を勝ち取った。「全国大会は県大会とは違った独特の緊張感がある。その中で自己ベストを更新できるように頑張りたい」と力を込める。
 山田さんが勤務する大船渡消防署(大久保守正署長)では、実戦と同じ20㍍の距離をとれないなど練習に制約もあるが、8月24日に愛媛県松山市で行われる晴れ舞台に向けて練習に熱気がこもっている。さらに「実際に消防や救急出動すると、同じ現場というのはほとんどない。さまざまな災害に対応できるように訓練を重ねていきたい」と大会の経験を現場にも生かしていくつもりだ。