スマイルフェスに2800人、フロンターレとベガルタが対戦/陸前高田(動画、別写真あり)

▲ 子どもたちが中村選手㊨らと交流ゲームも楽しんだ=気仙町

選手との交流など多彩に

 

 陸前高田市気仙町の仮設グラウンドで3日、「高田スマイルフェス2016」が開催された。サッカーJ1・川崎フロンターレ(F)と同市との間に昨年結ばれた友好協定「高田フロンターレスマイルシップ」に基づくイベントで、川崎Fとベガルタ仙台との試合が展開された。公式戦ではないものの、本県沿岸部でJ1同士の試合が実現したのは初めて。市内外から訪れた約2800人の来場者はゲームのみならず選手との交流、陸前高田と川崎のグルメや、ナオト・インティライミさんのミニライブなども満喫した。

 

 震災後、川崎Fが同市へオリジナル算数教材などを支援したことがきっかけとなり、昨年9月に結ばれた協定。フェスティバルは住民を激励しようと企画され、この日は抽選で選ばれた気仙管内在住者をはじめ、川崎、仙台からのツアー客などが会場の上長部グランドへつめかけた。
 午前10時の開場から開設されたサッカーボウリングやキックターゲットなどのアトラクションコーナー、物販エリア、両市の食が堪能できる飲食エリアは大にぎわい。ステージでは選手によるもちまきや、よさこいといった催しが繰り広げられた。
 天然芝のピッチでは、子どもたちが主力選手らと交流ゲームを楽しんだり、中高生対象のサッカー教室が開かれるなどし、プロの技術とプレーヤーの人柄に直接触れた。さらにキャプテンでMFの中村憲剛選手(35)、3年連続Jリーグ得点王のFW・大久保嘉人選手(34)らのサイン会も行われ、ファンたちを興奮で包んだ。
 メーンイベントのスマイルドリームマッチは30分ハーフで実施。通常より短い時間とあって試合は濃密な展開となった。0―0で迎えた後半、両チームは1点ずつ取り合ったまま互いに譲らず、ゲームは引き分けに。観客は熱い試合の余韻を残したまま、フィナーレとなるナオトさんのライブで盛り上がっていた。
 物販・飲食ブースには市内の飲食店や食品製造業者らも出店。「川崎で配ります」と大量に物産を買っていく人がいたり、ホタテ、イカ焼きを販売した広田湾漁協ブースに長蛇の列ができるなど好評を博した。またゲーム終了直後にフロンターレサポーターが何度も「りくぜんたかた!」とコールするなど、同市へのエールを市民に届けた。
 高田FCに所属する矢作小6年の吉田和明君は「選手たちの本気の姿を見ることができて良かった。ほかの県の人たちが僕らのためにいろいろしてくれていたのがうれしかった」と、川崎や仙台のファンの思いに感謝を示していた。

 

 

 

陸前高田市に缶詰パン贈呈

 

 同イベントに関連して2日、フロンターレサポーターが購入した備蓄用の缶詰パン341缶が陸前高田市に贈呈された。栃木県那須塩原市にある㈱パン・アキモトと専門商社大手㈱JTB商事(東京都)による企画で、川崎のサッカーファンからの善意を届けた。
 パン・アキモトは普通のパンだけでなく非常食用のパンを製造する会社。企業などの防災意識を高めると同時に、飢餓に苦しむ国をサポートする「救缶鳥プロジェクト」を展開するほか、東日本大震災発生後は食の被災地支援も行ってきた。
 今回は同社と、同社の活動に賛同するJTB商事がフロンターレの本拠地・川崎でゲームが行われた際に陸前高田支援キャンペーンを実施。会場で2缶1セットのパンを販売し、うち1個を同市へ寄贈するという内容で、341個を売り上げた。
 

秋元さん㊧と大西さん㊥が訪れ、缶詰パンを贈呈した=高田町

秋元さん㊧と大西さん㊥が訪れ、缶詰パンを贈呈した=高田町

2日はパン・アキモト取締役部長の秋元信彦さん(36)と、JTB首都圏第二グループ長・大西博之さん(37)が高田町の市防災センターを訪問。同市防災課の中村吉雄課長補佐に缶詰パンを手渡した。
 パッケージは「たかたのゆめちゃん」やフロンターレマスコット「ふろん太」が描かれた特製仕様。1個ずつに購入者から「共に前へ!がんばっぺし」などと手描きメッセージも添えられている。
 秋元さんは「単にパンを売るだけでなく『人を呼ぶ』『人と人とをつなぐ』ことができないかという思いがあった」といい、大西さんも「『直接行けない分、お手伝いを』というサポーターの思いを代弁しに来た。ファンの備蓄意識も高まるし、活動を通じて地域と人との交流につながれば」と話していた。