列車で対局楽しもう、〝アイゴ〟の貸出開始/三鉄南リアス線

▲ 車内で囲碁を楽しんだ木谷委員長㊨ら=南リアス線

 三陸鉄道盛駅ふれあい待合室と釜石市観光物産協会は8日から、同鉄道南リアス線盛・釜石両駅で〝アイゴ〟の貸し出しを開始する。アイゴは、特殊加工された碁盤と碁石のセットで、振動の強い列車の中でも碁を楽しむことができるもの。大船渡市内外の有志による「碁石海岸で囲碁まつり実行委員会」(木谷正道委員長)が企画し、「囲碁のまち・大船渡」のPRと発展を図る。

 

囲碁のまち大船渡PRに

 

 同市末崎町の名勝・碁石海岸は、囲碁で使う碁石のような黒い玉砂利が敷き詰められた「碁石浜」があることが名前の由来という。
 これに関連し、同実行委員会は大船渡を「囲碁のまち」と位置付けたさまざまなイベントを展開し、復興と地域活性化の機運醸成を図っている組織。神奈川県平塚市でNPO暮らしと耐震協議会理事長、日本棋院黒田支部長を務める木谷委員長をはじめ、同院大船渡支部(金昌治支部長)、末崎地区復興まちづくり協議会(大和田東江会長)などが協力している。
 具体的なイベントとしては、平成26年からプロ棋士を誘致しての「碁石海岸で囲碁まつり」を毎年継続開催。あす9日(土)には、6月に石製碁盤を奉納し〝囲碁神社〟となった同町中森の熊野神社で初の「囲碁神社祭」も予定している。
 三鉄でのアイゴの貸し出しもこれらの活動の一環。アイゴはもともと視覚障がい者でも碁が打てるようにと開発されたもので、碁盤と碁石に凹凸がついている。木谷委員長が「振動が強い列車の中でも碁が打てる」という点に目をつけ発案した。
 7日には、木谷委員長と金支部長がアイゴを持って盛駅発の列車に乗車。釜石駅との間を往復する列車の中で碁を打ち、時間がたつのを忘れて対局を楽しんだ。
 一局打ち終えた金支部長は「凹凸がある碁石ははじめ違和感があるが、やっていくうちに慣れた。集中して対局が楽しめました」と太鼓判を押す。
 木谷委員長は今後、JR釜石線などにもアイゴの貸し出しを波及させたいという。公共交通の利用促進で内陸と大船渡との〝距離感〟を縮め、さらなる人口交流の拡大を目指す。
 木谷委員長は「列車から景色を眺めながら碁を打てることはなかなかないのでは。アイゴには19路だけでなく9路の碁盤もついているので、囲碁ファンはもちろん、初心者にも楽しんでもらいたい」と利用を呼びかけていた。
 アイゴは盛、釜石両駅合わせて10セット用意しており、貸し出し料金は片道500円。途中の駅での貸し出しは行っていない。返却場所は終着駅となっており、盛駅では同待合室を運営するNPO法人夢ネット大船渡(岩城恭治理事長)が管理を担当する。
 貸し出しに関する問い合わせは同待合室(℡47・3542)へ。