2016参院選/岩手選挙区は木戸口氏が激戦制し初当選

▲ 激戦を制しての初当選を喜ぶ木戸口氏㊥。4野党の共闘で幅広く浸透した=盛岡市の後援会事務所(盛岡タイムス社撮影)

野党共闘で幅広く浸透

 

 安倍政権の信が問われた第24回参議院議員通常選挙(改選121)は10日、全国一斉に投票が行われ、即日開票された。新人3氏が立候補した岩手選挙区(改選1)は、統一候補として民進、共産、社民、生活の4野党が推薦した無所属の木戸口英司氏(52)=花巻市=の初当選が決まった。政権批判の受け皿として幅広い浸透を見せ、自民党公認、公明党推薦の田中真一氏(49)=盛岡市=に開票率98・73%段階で7万票余りの差をつけ、非自民の議席を守った。政治団体幸福実現党の石川幹子氏(51)=盛岡市=は与野党対決に埋没し、得票を伸ばせなかった。選挙区の投票率は57・78%。前回を0・25ポイント上回った。

開票結果

 

自民・田中氏、追い上げ届かず

 

 参院定数は選挙区146人、比例代表96人の242人で、今通常選挙ではそれぞれ半数の選挙区73人、比例48人を改選。今回はおおむね都道府県ごとの選挙区には225人、全国を1ブロックとする比例代表には164人が立候補。
 選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから初の国政選挙で、経済政策「アベノミクス」や平和安全法制への評価、震災復興などを主な争点として、先月22日の公示から今月9日までの間、舌戦を繰り広げてきた。
 岩手含め全国に32ある改選数1の選挙区「1人区」では、改選過半数の61議席確保を勝敗ラインに掲げた自民・公明の与党に対し、野党が候補を一本化して臨む与野党対決を軸とした選挙戦が展開された。
 木戸口氏は、小沢一郎衆議院議員秘書や達増拓也知事の政務秘書、県議1期を経験。小沢氏と行動を共にしてきた生活の現職・主浜了氏の勇退表明を受け、野党4党間での協議を経て5月に統一候補として擁立された。
 袂を分かった旧民主系が再び手を携え、そこに共産と社民が加わって支持基盤は厚みを見せ、昨秋の統一地方選に際し、野党共闘の源流になったと言える達増知事も積極支援した。政権批判の受け皿としてのアピールも強めた。
 気仙では、推薦各党または主浜氏を支持してきた市議、町議らが中心となって活動。民進県連代表の黄川田徹衆議院議員や同役員の田村誠県議会議長が支え、労働団体なども加わり、幅広く浸透。大船渡市では1107票差、陸前高田市では1416票差、住田町では29票差で田中氏に競り勝った。
 田中氏は平成25年の前回選に続く挑戦。参院岩手選挙区では24年ぶりとなる議席獲得を目指す自民が昨年11月に公認。前回戦った無所属の現職・平野達男氏の支援も受け、岩手を重点区とする党本部も応援に閣僚級を送り込むなどした。気仙では前回より6000票余積み増したが及ばなかった。
 石川氏は、消費税8%から5%への減税や国防強化、マイナンバー制度廃止といった施策を中心に与野党ではない「第3の選択」を訴えたが、存在感を示せなかった。
 与野党対決が軸となった今回の岩手選挙区は、野党共闘の力が上回り、その議席は全国的には勢いを見せた与党に対する改革勢力の砦と位置づけられる。4党の後押しを受けた木戸口氏が今後、国政に臨むにあたってどのようなスタンスをとるのか注目されそうだ。
 木戸口氏の話 政治に対する危機感、政治を変えてほしいという期待感、その思いが結集し、まったく一体となった戦いができたと思う。

 県全体の投票率は57・78%で、57・53%だった前回選を0・25ポイント上回った。気仙では大船渡市が59・50%(前回選比5・44ポイント減)、陸前高田市が61・94%(同2・27ポイント減)、住田町が63・31%(同2・93ポイント減)と軒並み下がった。
 一方、期日前投票者数は県全体で18万608人(16・50%)と前回選比3・22ポイントの増。平成15年に制度が始まって以降最多となった。大船渡市は3904人(11・85%)で0・18ポイント、陸前高田市は2171人(12・40%)で1・58ポイント、住田町は641人(12・41%)で3ポイント、それぞれ前回を上回った。制度の定着に加え、今回は従来より期間が1日長かったことも反映されたとみられる。

 ◇木戸口英司氏(きどぐち・えいじ)花巻市出身、千葉大卒。小沢一郎衆議院議員秘書を経て、平成15年から19年まで岩手県議1期。同年から今年4月まで、達増拓也県知事の政務秘書を務めた。花巻市在住。52歳。

気仙の得票数