「ゾーン30」気仙にも、歩行者安全確保へ住田町世田米で検討/大船渡警察署

▲ 導入検討の経緯や期待される効果などが示された説明会=住田町

 住田町世田米で気仙初となる「ゾーン30」の導入を検討している大船渡警察署(髙橋仁署長)は14日夜、住民向け説明会を開催した。世田米小や町役場などがある川向地内30㌶超で登下校児童をはじめ歩行者の安全確保を図ろうと、町道の最高速度を30㌔に規制するもの。来年度の導入を目指している。東日本大震災以降、同地内は子ども向け遊具が充実している広場や野球場などに町外からの来訪者も増えており、導入の行方や成果が今後注目を集めそうだ。

 

29年度の導入目指す、区域内町道速度制限30㌔に

 

公共施設が集積している世田米川向地区=同

公共施設が集積している世田米川向地区=同

 ゾーン30は生活道路における歩行者などの安全な通行確保を目的に、区域(ゾーン)を定めて最高速度30㌔の速度規制を実施する生活道路対策の一つ。このほかにも各種安全策を講じ、ゾーン内における「抜け道行為」などの抑制を図る。
 県内では平成24年度以降設けられ、昨年度までに20カ所に導入。本年度は4カ所で計画しているが、沿岸部は少なく気仙ではゼロとなっている。
 町役場で開かれた説明会には、各種交通安全団体の関係者や地域住民ら約20人が出席。同署交通課の木村隆志交通規制係長がゾーン30の仕組みや検討経緯などを示した。
 範囲は瀬音橋付近から昭和橋を挟み、清水橋までの気仙川右岸一帯。国道107号は含まず、すべて町道。最高速度の30㌔規制に加え、横断歩道の設置も検討するという。
 道路上での表示や区域規制標識の設置を進めることになるが、具体的なあり方は道路管理者である町と協議する。木村係長は30㌔に抑制する理由として「過去の交通事故分析から、自動車の速度が30㌔を超えると致死率が上昇する」などを挙げた。
 これまでの経緯に関して「警察署や本部で検討を始め、場所や立地している施設、(幹線道路に)通り抜けできる道路状況などから、安全性向上が期待できる」などと説明。導入後の関係団体による啓発活動の重要性にも言及した。
 出席者から反対意見はなかったが、昭和橋や清水橋に関しては橋を渡る前の気仙川左岸から規制を設けるべきではとの意見も。終了後は「(左岸側の)世田米商店街沿いもスピードを上げて走行する車両が多く、対象にしてもいいのでは」といった声も聞かれた。
 川向地内には世田米小学校があり、各自宅からの登校はもちろん、下校時は校外にある学童施設まで徒歩移動の児童も多い。昭和橋をはじめ、比較的狭い道路が多く、抜け道利用の車両走行や通過交通を抑える安全確保充実が望まれる。
 また、気仙両市の球場が被災し、町運動公園野球場は県や気仙地区レベルの大会開催が増えているほか、高齢者を主な対象としたグラウンド・ゴルフの大会も。現在改修工事が進められている社会体育館も幅広い活用が見込まれる。
 公園内のふれあい広場は、芝生スペースや子ども向け遊具も充実。町外在住者にも定着し、遠足で保育園児らが訪れる光景も見られるようになった。一昨年に完成した役場内の町民ホールでも多彩な催しが企画され、近年交通情勢は変化している。
 役場向かいには今後、庁舎と同じ木造の消防分署が整備されるほか、図書館が入る生活改善センターの改築計画も。より歩きやすい環境となることで、蔵並みをはじめ歴史的な景観を生かしたまちづくりや来訪者の回遊、交流人口増への波及も注目される。
 29年度内の導入を目指し、今後開催される同署交通規制対策協で規制計画の一つとして審議される見通し。警察内での再考などを経て、県公安委員会に諮られる流れとなっている。