浜辺に笑顔戻る、1日限定海開き/浪板海水浴場(別写真あり)

▲ 海を楽しむ子どもたち=浪板海水浴場

小学生対象に青年会議所が/三陸町

 

 三陸の浜辺に子どもたちの笑顔が帰ってきた。一般社団法人大船渡青年会議所(川原夕輝理事長)は24日、大船渡市三陸町越喜来の浪板海水浴場で一日限りの「うみびらき」を行った。東日本大震災の発生以降、市内の海水浴場は海開きが行われておらず、集まった大勢の子どもたちは大きな歓声を上げて地元の海を楽しんでいた。

 うみびらきは「子どもたちに再び海を楽しんでもらおう」と同会議所が企画。市内の小学生を対象としたさまざまなイベントを行った。
 この日は小学生30人と保護者らが参加した。まず、オリエンテーションで同会議所の会員らから注意事項などの説明を受けたあと、いくつかの班に分かれて砂浜のごみ拾いを行った。
 そのあと「漁業体験」として、子どもたちは5隻の漁船に分乗してホタテ養殖棚を見学した。船では、実際の速度以上のスピード感に子どもたちは大はしゃぎ。ロープが引き上げられると、海面から出てきたホタテやメカブなどを興味深く見つめていた。
 港に戻ると、子どもたちは口々に「また乗りたい」と言いながらバーベキューへ。同会議所のスタッフらが作った焼肉やフランクフルトなどをおいしそうにほおばっていた。
 さらに海水浴の時間になると、待ちかねた様子で次々と砂浜を走り出し、浮き輪などを使って夏の海を楽しんでいた。
 三浦紗瑛さん(大船渡小2年)を連れて訪れた美由紀さん(36)は「震災後、親としては海自体が危なく感じるので、ちょっと怖い」と不安をのぞかせる。ただ、「子どもは物心つく前に1回(海に)来たきりだったので、また海水浴を楽しめるようになってよかった」と話していた。
 そんな親たちの心配をよそに子どもたちは泳ぎや砂遊びに熱中。同町吉浜から来た岡﨑海樹君(吉浜小6年)、匠海君(同4年)、海咲ちゃん(5)の3きょうだいは「(海水は)少し冷たかったし、しょっぱかったけど、気持ちよくて楽しかった。また海に来たい」と元気に遊びまわっていた。
 同会議所の川原理事長は「これがきっかけとなり、来年はたくさんの場所で海開きしてくれればいい。子どもたちが海を好きになって、大船渡を愛する人になってくれれば」と浜辺の様子を目を細めながら見つめていた。