三木、ランバー巡り意見交換/住田町が呼びかけ
平成28年7月26日付 1面
住田町世田米の木工加工団地内に構える三陸木材高次加工協同組合(中川信夫理事長、三木)と、協同組合さんりくランバー(同代表理事、ランバー)の早期経営安定化を見据え、町と町議会、両組合の理事者や出資者らによる意見交換会が24日に町役場で行われた。両組合は26、27年度と連続赤字決算で、町に対する融資償還が計画通りできていない。出席者によると、関係者がスクラムを組み、一致団結しながら安定化に取り組む意識共有を図ったという。当面は、昨年10月から進めている経営体制改革の行方が注目される。
安定化へ意識共有図る
町議、理事、出資者ら出席
町民ホールでの意見交換は非公開で行われ、約1時間30分で終了。終了後、呼びかけ役を担った多田欣一町長が状況を説明した。
多田町長と横澤孝副町長をはじめとした町当局に加え、議会側は全12議員が出席。これに中川理事長をはじめ両組合の理事、出資者、町が融資を行った際の保証人らを加えた計約30人が臨んだ。
前半は、両組合が昨年10月以降取り組んできた経営体制改革に関する現状説明が行われた。同じ団地内に工場を構えるけせんプレカット協同組合の泉田十太郎専務理事を支配人として招き、従業員も主体的な立場を担いながら業務見直しを進めた。
従来の夜間も含めた複数シフトを、昼間だけの1シフトと残業対応とするなど、時間や従業員あたりの生産性を重視。4月以降、安定運営に向けた毎月の売上高目標を三木は1億2000万円、ランバーは2000万円と設定している。本年度に入り三木は4月は赤字だったが、5月は黒字となり、6月は黒字額がさらに増加。ランバーは4月は赤字で5月は黒字、6月は赤字だったという。
安定化に向け、県による経営支援アドバイザーらからの助言も受ける。経営状況は依然として予断は許さない状況が続くものの、改善傾向と言える状況に入ってきたとの見方が示された。
議員側の発言は、両組合の運営を担う理事らにしっかりとした再建の意志があるかを確認する内容だったという。これに対して事業体側からは、再建に向かって着実に歩みを進めている現状に理解や協力を求める声が寄せられた。
多田町長は「議会側がどれだけ真剣に再建や借り入れた金の償還を考えているかが、理事者や保証人、出資者に伝わったと思う。これが大きな成果。理事者側も意見交換を通じて、もっと団結しなければという認識に立てたのでは」と話す。
終了後、中川理事長は「黒字確保を目指して進めていくという意志を確認しあうことができ、有意義だった」と語った。
両組合は同19年に経営危機が判明。町から計約7億9000万円の公金融資を受けて再建を進め、26年度から年度当たり同約3100万円を町へ償還する計画だったが、同年度は返済できなかった。27年度下半期から返済を始めたが、222万円にとどまった。
27年度の決算状況は三木が6229万円、ランバーは4047万円の純損失を計上し、いずれも累計損失金が拡大。三木は7億8918万円、ランバーは4億1473万円に膨らんだ。赤字は2期連続で、経営的にも困難な状況に直面した。
6月定例会の一般質問では、登壇した半数以上の議員が両組合の動向を追及。多田町長は「一定の経営計画ができた時点で、返済について私も含め、議員と両組合の理事、できれば出資者も含めて一緒に議論する場を」などと答弁した。住民説明は、新体制移行から1年が経過する9月末の状況をふまえ判断するとしていた。