「井戸端会議」で移転後の未来を語る、高田町民が意見や要望(別写真あり)

▲ 高田町民らが好きな時間に訪れ、今後のまちづくりについて自分の考えなどを述べた=高田町

 陸前高田市の高田地区コミュニティ推進協議会(小松三生会長)と高田町の川原サイコウ勉強会による、第1回「たがだの井戸端会議」は27日、市コミュニティホールで開かれた。被災によって町内から一時的に離れている人たちも顔を出し、移転先でこれからどんなことを望むかといったことについて意見や要望を出し合った。

 

会場出入り自由で気軽に

 

 高田町は東日本大震災による被災範囲が同市で最も大きく、町民が市内各地の仮設住宅などへ散り散りとなっている。現在は市の区画整理事業による高台の造成が進み、自宅の再建に着手した人、すでに住宅の完成を迎えた人も多いが、移転先となる新行政区の住民同士が集まって話すような機会はほとんどないという。
 しかし住民からは「みんなが同時に移転するわけではないし、新しい行政区の運営などについて事前に話をできないのは大変」「どんな人たちと新しい地区をつくっていくのか分からず、移転後が不安」といった声が出ていた。このため同協議会と、住宅再建先でのコミュニティー再生に向けて取り組むサイコウ勉強会が、一切の枠組みを取り払って話せる場をつくろうと今回の会議を企画した。
 同日は午後1時30分から8時30分という長時間にわたり、同ホール集会室を開放。好きな時間に出入りでき、訪れた人はお茶を飲んだり、高台造成地や防潮堤を空撮した映像を眺めるなどしながら、〝井戸端会議〟の名の通り、気楽なおしゃべりの時間を過ごした。
 サイコウ勉強会はこれまで市から提示され、勉強会で活用するなどしたさまざまな資料を提供。区画整理された「高台②」の公園・緑地位置図を見た人たちからは「移転する前に公園設備ができてしまうより、みんながそろった段階でどんな場所にするか話し合いたいよね」「時間はかかるが、国に待ってもらえないものか」といった意見が出されていた。
 また、「相談したいこと」として「災害公営住宅内の自治会運営」「災害公営住宅と既存地域との付き合い」「既存地域への新規居住者対応」などを、「みんなでやりたいこと」として「お祭り」「町内会対抗戦」「懇親会」といった項目を設け、壁面に掲示。参加者が希望する欄にシールを貼っていく形でアンケートを取った。これらは今後の話し合いに生かしていくという。
 同協議会副会長の武蔵野美和さん(52)は「今までは、〝家がある人・ない人〟というようにどこか仕切られている感じがあった。そうした枠のない、高田の人なら誰でも集まって話せる場が求められているのだと思う。『これから高田でこんなことをしたい』という話題が自然と出るような会にし、定期的に開くことで『コミセンへ行けばいつでも意見が言える』という状態をつくっていきたい」と話していた。