根白漁港工事が完了、県管理では気仙初/三陸町吉浜

▲ 28日に工事が完了した根白漁港=三陸町吉浜

 東日本大震災で被災した気仙両市の漁港のうち、大船渡市三陸町吉浜の根白漁港の災害復旧事業が28日に完了した。着工から5年余りを経て、県管理漁港の災害復旧工事としては気仙地区内で初の完了。残る県管理の気仙8漁港についても、県は本年度中の完成を目標に取り組んでいく。

 

残る漁港も年度内完成目指す

 

 県内111漁港のうち、震災によって108の漁港が被害を受けた。
 このうち大船渡市では22、陸前高田市では12の漁港すべてが被災したが、主要な防波堤や岸壁は整備され、漁港としての機能はほぼ回復している。
 県がこのほど公表した「復興実施計画における主な取り組みの進ちょく状況」(6月30日現在)によると、漁港災害復旧事業による漁港等の整備では被災した県管理31漁港のうち、潮位にかかわらず陸揚げが可能な漁港は目標値の31に達しており、岸壁等の復旧延長は目標値29・5㌔に対して実績値は23・4㌔。進ちょく率は79%となっている。
 大船渡市の最北に位置する吉浜地区。海岸線には断崖状岬が交互に出現し、岩礁の発達が多く見られ磯資源の生息に適しており、同地区で漁獲されるアワビは「キッピンアワビ」として国内外から高い評価を得ている。
 県によると、同漁港の平成21年の登録漁船数は84隻、水産物の陸揚げ量は2415㌧、陸揚げ金額は5億2300万円と、養殖漁業などが盛んに行われている。震災により登録漁船は10隻余り減少。防波堤は倒壊し、90㌢の地盤沈下も生じた。
 復旧事業には発災直後の23年4月8日に着手し、以降、各施設の復旧を急いできた。
 今回、延長740㍍の臨港道路整備の終了により、31の県管理漁港のうち種市、野田などに次いで7番目の工事完了に。
 住宅地が高台にあるため漁港背後には防潮堤が設置されないことも、工事の早期完了につながった。
 主な復旧施設は防波堤(延長740㍍)、護岸(同450㍍)、岸壁等(同630㍍)、船揚場2カ所、臨港道路(同740㍍)で、工事費用は約57億1800万円。
 残る工事未完了の県管理漁港は、大船渡市の崎浜(三陸町越喜来)、越喜来(同)、綾里(三陸町綾里)、大船渡(大船渡町)、門の浜(末崎町)、陸前高田市の六ケ浦(広田町)、広田(同)、長部(気仙町)の8漁港。
 県では漁港災害復旧は本年中の完了を目指しており、沿岸広域振興局水産部大船渡水産振興センターの髙橋英彦漁港復旧課長は「遅ればせながら、ようやく一つの漁港が完成した。残る8漁港も完成へ鋭意努力していく」と話している。