国際交流員を初任用、米国人男性が商工観光課に/陸前高田市
平成28年7月30日付 1面

陸前高田市は、海外向け情報発信の充実や外国人旅行者の受け入れ拡大などを図るため、25日から外国人男性1人を非常勤職員として任用した。28日には市役所で辞令交付式が行われ、アメリカ国籍を持つディラン・チャップマン(Dylan Chapman)さん(24)が「国際交流員」に任命された。
情報発信などの役割期待
今回の任用は国と一般財団法人自治体国際化協会が実施する「語学指導等を行う外国青年招致事業(The Japan Exchange and Teaching Progr
amme)=JETプログラム」を活用し、同市では初めて実施するもの。ディランさんは企画部商工観光課に配属され、▽市のフェースブックやホームページを通じた英語情報の発信▽外国人旅行者の誘致及び受け入れ環境整備に資する活動▽市内における国際交流活動、語学指導──等を行う。任期は来年3月31日までで、延長もありうる。
この日は戸羽太市長がディランさんに辞令を手渡し。「まずはようこそ。大きな津波と地震でまちはなくなってしまったが、これからは多くの外国人にも来ていただきたいと思っている。そのための力を貸してもらい、仲間として一緒に頑張ってほしい」と歓迎した。
ディランさんは米国ミズーリ大学で国際関係学を学び、学生時代は交換留学生として滋賀に、その後は長崎にも住んだことがある。日本についてより深く学びたいといった思いからJETプログラムに登録したという。
ディランさんは日本語も堪能で、吉本ばなな、江國香織といった日本人作家の小説(英語翻訳版)も好んで読んでいるそう。陸前高田では「温泉や海鮮なども楽しみたい」と旺盛な好奇心をみせる。同市へ来ることが決まった時は「JETの派遣はALT(外国語指導助手)であることが多く、国際交流員の場合でも県庁などへ行くことがほとんど。最初は驚いた」と話すが、「まちのことをただ伝えるだけでなく、宣伝もしていきたい」と意気込む。
戸羽市長も「せっかく日本にご縁があったのだから、まずは彼自身に陸前高田を好きになってもらいたい」と激励。来月3日から6日まで同市で行われるアメリカ人学生らとの交流体験「キッズサマースクール」が主な初仕事になるといい、今後は〝スポークスマン〟としての役割や、住民に溶け込んだ活動が期待される。