空き家活用策・細やかな支援重要に、売却・賃貸希望は26件/住田町

▲ 移住・定住や、空き家関連の情報を発信している町ホームページ

 持続可能な地域運営に向けた人口減少対策や地域活性化、生活環境の安全確保などが求められる中、住田町が前年度実施した空き家に関する調査では、全住宅の16%にあたる約330戸で日常的に居住世帯がおらず、このうち41戸が年間を通じて利用されていないことが分かった。帰省や管理を目的とした一時的な利用は約120戸。売却・賃貸希望は26件となっている。有効活用に向けては、盆や正月だけの利用を望む所有者との共有や改修費補助など、実情に応じた細やかな支援策の重要性が浮かび上がる。

 

調査で実態浮き彫り、帰省時利用も多く

 

 町は前年度、まち・ひと・しごと創生法に基づく総合戦略先行型事業として、国からの交付金を生かして移住促進事業を展開。空き家の実態調査はその一環で、調査結果に関しては22日に開かれた総合計画・人口ビジョン・総合戦略推進委員会(委員長・大杉覚首都大学東京大学院教授、委員16人)でも話題に上った。
 町人口は昭和30年の合併時は1万3000人を超えていたが、近年は6000人を割り込み、国立社会保障・人口問題研究所の発表では平成37年には4505人になると推計されている。
 人口減少に伴い目立ってきているのが空き家の増加・老朽化。全国的な問題でもあり、平成25年における全国の空き家率は13・5%、県内では14・6%となっている。
 調査は、所有者らの意向把握や今後の有効活用などにつなげようと実施。昨年6月から11月にかけて行った。
 住宅地図や水道使用情報、現地調査などを経て集計した。町内全域にある住宅総数約2076戸のうち、空き家とみられる334件を対象に調査。このうち所有者らに調査票を送付できたのは249件、入院などにより送付できなかったのが85件。寄せられた回答数は168件(送付数の67・5%)だった。
 年間を通じて利用されていない空き家は41戸。この中で倒壊をはじめ保安上危険とみられる「特定空き家」の候補は16件だった。全国住宅・土地統計調査では、利用が一時的で普段は住んでいない住宅も空き家の定義に含む。
 これを住田町に当てはめると329件で、15・8%を占める。年間を通じて利用していない41戸、実態不明や調査できなかった約170戸を除く約120戸は、月1回やお盆・正月に合わせた帰省時利用が目立つ。
 調査票での「空き家所有」の維持管理に関する問いをみると、管理の頻度は「月に一度」が29%と最多。「半年に一度」「年に一度」がそれぞれ15%と続く。
 今後の利用意向は「現状維持が過半数」が46%と半数近くを占める。理由では「利用の可能性がある」「解体・改修費用がかかる」などが目立った。次に多かったのは「解体したい」で15%だった。
 一方「売りたい」「貸したい」と回答したのは計26人で17%。その障壁となる課題を聞いたところ「荷物がある」「改修費用がかかる」「仏壇がある」などが寄せられた。町に対する要望では空き家バンクの情報発信充実や、改修費用補助などの財政支援が挙がった。
 町では平成20年度から空き家・空き地情報バンク事業を展開。ホームページなどで公表しており、前年度は4件追加。空き家の累計は28件で、現在7件で紹介可能となっている。
 全国的に空き家の活用は、住居環境の実情と利用意向とのミスマッチが大きな課題。転勤に伴う居住や賃貸を望むケースも見られ、移住・定住にとどまらない幅広い視点での活用支援策が望まれる。
 また、盆や正月には利用したいといった所有者との調整や、移住者だけでなく所有者に対して改修費用を補助できないかといった検討事項も浮かび上がる。町では本年度以降、さらなる具体的な支援のあり方などについて検討を進める。