特殊詐欺被害を防げ!タクシー協会支部と連携/大船渡署
平成28年8月3日付 1面

県内初、覚書に調印
多発する特殊詐欺被害を未然に防ごうと、県タクシー協会気仙支部(支部長・佐藤保㈲高田交通代表取締役)と大船渡警察署(髙橋仁署長)は連携して「特殊詐欺ストップタクシー」を実施する。2日に同署署長室で覚書調印式が行われた。県内初の試みで、還付金等詐欺などの被害抑止に向けて、関係者は決意を新たにした。
6月末現在、県内の特殊詐欺被害は52件発生しており、被害総額は約1億1250万円に上る。特に還付金等詐欺は25件と約半数を占め、被害総額も約3920万円に達している。
気仙管内では同日現在、前年同期の2倍となる4件の被害が認知されており、被害総額は約863万円と前年同期(約216万円)の4倍近くに拡大している。
特殊詐欺ストップタクシーは、ATM機を設置しているスーパーマーケットなどの商業施設や金融機関を行き先にした高齢の利用客に対し、ドライバーが特殊詐欺について注意喚起。乗客が焦りを隠せなくなっているなどと認められた場合はタクシー会社本社に無線連絡し、本社が大船渡署に通報するもの。
大船渡署は通報を受けると警察官を乗客の行き先に臨場させ、特殊詐欺被害の有無を確認する。
大船渡署からの要請を同支部が快諾したことから両者の連携が実現した。
既に、特殊詐欺の被疑者と認められる人物に関する通報は県警本部が同協会に対して依頼しているが、被害者と認められる人についての通報を受けて被害防止を図るのは県内初の取り組みとなる。
なお、被害防止に向けたこれらの対応については、すべて同署の責任で行うこととしている。
覚書調印式には同支部から佐藤支部長、㈱東海タクシーの川戸裕民取締役部長、高田タクシー㈲の菅野真彦代表取締役、大船渡署からは髙橋署長と幹部らが出席した。
髙橋署長は「管内の詐欺被害は既に昨年の2倍となっており、これ以上の被害は出せない。本県初となるこの施策でタクシー協会のみなさんと連携を図りながら、できる限りのことをしていきたい」とあいさつした。
佐藤支部長は「顔なじみのお客さんも多いし、いつもと様子が違うときは声をかけたい。これで1件でも2件でも被害が少なくなってくれれば」と話していた。
調印式後には同支部のメンバーから、「これまであった特殊詐欺の手口についてまとめたものをドライバーへの情報提供に使いたい」などという要望も出されていた。
同支部には大船渡、陸前高田両市から、三光運輸㈲、合資会社菅野商店、光陽商事㈱、㈱東海タクシー、㈲高田交通、高田タクシー㈲、㈱気仙タクシーの7社が加盟しており、合計86台のタクシーが登録されている。