盆明け 台風で大荒れ、各地で冠水など/気仙(別写真あり)

▲ 住田町では記録的な降水量となり全域に避難を呼びかけた=世田米大股

 台風7号は17日未明から午後にかけて東北の太平洋沿岸を北上した。気仙には同日正午ごろ最接近し、各地に大雨や暴風、高波などをもたらした。人的被害は確認されなかったが、陸前高田市と住田町では避難勧告が出され、各地で道路の冠水による通行止め、公共交通の運休、停電などが相次ぎ、住民生活に大きな影響を及ぼした。

 

 住民生活に影響、避難勧告も

 

 台風7号は14日にマリアナ諸島近海で発生。発達しながら16日には小笠原諸島近海に進み、17日は関東から東北にかけての太平洋沿岸を北上。中心部の気圧は980ヘクトパスカル。最大風速は30㍍、最大瞬間風速は40㍍。正午には大船渡市の東南東40㌔の海上にあって気仙に最接近。1時間に45㌔の速さで北へ進み、午後4時現在で襟裳岬の南南西約50㌔にある。

大船渡市内の低地では大人の膝ほどまでの冠水が見られた=大船渡町地ノ森

大船渡市内の低地では大人の膝ほどまでの冠水が見られた=大船渡町地ノ森

 台風接近の影響で本県では未明から風雨が強まり、午前5時50分に全域へ大雨、洪水、沿岸全域に暴風、波浪の各警報が発表された。盛岡地方気象台の観測によると、24時間降水量は住田町で164㍉とこの日全国5番目の多さ。8月としては昭和63年8月30日の166㍉に次ぐ記録的な雨だった。大船渡市では148㍉、陸前高田市では96㍉。風も強く、最大瞬間風速は大船渡で21・9㍍、陸前高田で18・7㍍、住田で22・2㍍だった。
 土砂災害警戒情報が発表された地域もあり、気仙では2市1町すべてが対象に。川の水位も上昇し、県の水位観測所では盛川の権現堂橋、気仙川の舘、大股川の高屋敷で氾濫危険水位を超過。各市町が防災行政無線などで注意を呼びかけた。
 この中、住田町は午前10時16分、町内全域に避難準備情報を出し、同36分には下大股地区の6世帯9人に避難勧告。陸前高田市は同11時20分に矢作町生出地区の125世帯293人に避難勧告を出した。
 このうち、住田町では大股自治公民館に最大で14人が身を寄せたほか、役場には6人、保健福祉センターには2人が訪れた。下大股の荒木ミユキさん(83)は「これまで家の下が流されたりしたことがあったので、一人で家にいるのはやはり怖い。早くやんでほしい」と不安な表情を浮かべていた。両市町の避難準備情報と勧告は、いずれも午後3時までに解除された。
 大船渡市では大船渡町地ノ森、同町欠ノ下向、盛町木町の盛川沿いの3カ所、陸前高田市では高田町長砂、広田町前花貝、小友町の小友浦など5カ所で道路の冠水が確認され、通行止め措置が取られた。
 住田町では上有住に滝観洞インターチェンジがある釜石横断道・仙人峠道路が正午から一時通行止めに。インターチェンジ付近の県道釜石住田線では近くを流れる気仙川の水流に押される形で道路が歪み、関係業者が警戒にあたる光景も。気仙川に架かる昭和橋(世田米)も一時通行止めとなった。
 三陸鉄道南リアス線(盛─釜石)は17日の上下線運行を始発から見合わせ、JR大船渡線BRT(盛─気仙沼)は陸前高田市内の運行ルート冠水を受けて午前11時10分から運休。午後4時までにいずれも運行再開した。
 東北電力岩手支店によると、県内では延べ2272戸が停電。気仙では午前9時20分ごろ、大船渡市猪川町字久名畑地内などの58戸が停電。倒木によるものとみられ、およそ2時間後に復旧した。
 各市町などによる本格的な被害確認は18日以降となりそうだ。