戸別訪問で事故防ぐ、愛・EYEふれあい隊/大船渡署

▲ 入居者と談笑しながら事故防止の啓発活動を行う隊員たち=猪川町

長洞仮設を合同訪問

 

 「愛・EYE交通安全ふれあい隊」と大船渡警察署(髙橋仁署長)交通課は19日、大船渡市猪川町の長洞応急仮設住宅を訪れ、合同で戸別訪問を行った。気仙3市町の災害応急仮設住宅や災害公営住宅、自力再建住宅などに訪れ、高齢者らの見守りを行うふれあい隊の活動に同課が帯同するのは初めて。隊員らは高齢者が巻き込まれる事故防止に向けて精力的に訪問活動を行っていた。
 ふれあい隊は、気仙3市町の社会福祉協議会が所管する生活支援相談員らを同署が隊員に委嘱。隊員は仮設住宅や災害公営住宅などに住む被災住民に寄り添って生活支援を行う。交通安全に向けた啓発活動としては、訪問先で同署が作成した啓発チラシを配布したり、事故防止に向けたワンポイントアドバイスを伝える活動なども行っている。
 平成27年10月に結成されて以降、戸別訪問した被災高齢者の数は2市1町で延べ1万人を超える。
 隊員らは月に1回ほど、交通課職員による講習会を受講するほか、歩行環境シミュレーター「わたりジョーズ君」を体験するなど、高齢の歩行者が事故に遭うケースやその傾向について研修し、戸別訪問の際の要点について学んでいる。
 この日は、隊員の佐藤仁美さん(62)、岩渕淳子さん(54)と浅野渉交通課長ら交通課署員、立根駐在所員合わせて5人が参加。仮設住宅に住む高齢者のもとを訪れ、隊員がチラシを配ったり、署員が反射材の付いたタスキをプレゼントし、「大震災を乗り越えた命を交通事故で落とさないように気を付けて」などと声をかけた。
 入居者の及川テイ子さん(82)は「(隊員は)とっても頼りがいがあるし、顔を見ないと寂しいね」と隊員に信頼を寄せている様子。また、外出時について「道路をわたるのが一番怖い。夜に出歩くときはタスキをかけなきゃね」と話していた。
 浅野課長は「他地域から赴任してきた署員よりも、隊員のみなさんは入居者の方々とつながりが深い。自らが被災された方も多くて、共感を持って接しているし、感銘的な交通指導をしてくれる」と表情をなごませていた。
 隊員の岩渕さんは「ふれあい隊員を兼ねるようになって、若い入居者とも運転の話をするようになり、コミュニケーションを取れることが多くなった」と活動の成果を話す。
 さらに「仮設住宅の集会場で開かれるお茶会でも『道路をわたる時は気を付けて』などと話している。いろいろな機会に何度も話すことで、呼びかけが心に残ってくれると思う」と願っていた。
 同署では月1回程度、ふれあい隊の活動に参加し、高齢者が巻き込まれる事故の抑止を進めていくこととしている。