広場も交流の拠点に、まち家世田米駅で料理人が「混ざらいん」(別写真あり)

▲ 住民が持ち寄った野菜などで天ぷらなどを調理=世田米

 住田町住民交流拠点施設・まち家世田米駅で21日、同施設の指定管理者である一般社団法人・SUMICA(村上健也代表)主催の「まちやDE混ざらいん!!」が開かれた。町内で採れた野菜や地元名産の鶏ハラミ、大船渡・綾里産のホタテなどが持ち込まれ、東京から訪れた料理人らがその場で調理。今年から本格利用が始まった新たな空間で、交流の輪が広がった。

 

地元食材その場で調理

 

 この催しは、任意団体の「mother―line(マザーライン)」と、世田米地区公民館が共催。マザーラインは東日本大震災以降被災地で食分野の支援・交流を展開する料理関係者らで昨年11月に結成。現地で食材を調達しながら、各地域の住民と語らい、心の交流を深める活動を展開している。
 訪問したのは、NHK「ためしてガッテン」などで知られる料理研究家の林幸子さん、岩井義郎さん(東京銀座・天冨良いわ井店主、マザーライン代表)、銀屋克二さん(東京白金台・銀屋店主)。来訪はできなかったが、日本テレビ系列「キューピー3分クッキング」などでおなじみの料理研究家・関岡弘美さんが協力した。
 岩井さんや林さんらは「まっくろくろすけのくろすけ揚げ」を調理。住田産鶏ハラミは肉汁を逃さぬよう小麦粉をまぶしてからノリで包み、カラッと揚げた。
 訪れた地域住民は包む作業を担当。ノリがなくなると、施設内で育てているシソを摘んで対応するなど、地産地消の調理が大胆に繰り広げられた。
 銀屋さんは、住民が持ち込んだ野菜や綾里・小石浜産ホタテを天ぷらに仕上げた。揚げたてが提供され、軽やかな衣とともに新鮮な食材を味わった来訪者は、おいしさに笑顔を弾ませていた。
 地元産野菜を使ったマリネや浅漬けも人気。
 台風一過の青空とともに厳しい暑さに見舞われた中、関岡さんが準備したスイカや抹茶などの手づくりシロップで味わうかき氷も好評を博した。
 訪れた世田米在住の多田教子さん(76)は「ノリやシソで包む下ごしらえを手伝ったこともあって、何もかもおいしかった。こういう風に調理することはないので、楽しかった」と笑顔。
 林さんは「炊き出しのように『つくる、もらう』の関係ではなく、みんなが一緒の空間で楽しむことで、コミュニケーションも深めることができた」と語り、今後の継続的な交流に期待を込めた。
 世田米商店街沿いに生まれたまち家世田米駅は4月下旬から、レストランやコミュニティカフェ、交流スペースなどかつての家屋部分を生かした設備で先行的に利用がスタート。隣接する広場や蔵などの整備も終わり、屋外でのイベント企画も出始めている。SUMICAをはじめ地元関係者は盛況ぶりに目を細めながら、さらなる地域協働型の積極活用も誓い合っていた。