最新の研究成果発表、北里大とKAUSTが国際ワークショップ開催/大船渡
平成28年8月25日付 3面

北里大学海洋生命科学部とサウジアラビアのアブドラ国王科学技術大学(KAUST)による「海洋微生物メタゲノム解析国際ワークショップ~紅海と三陸沿岸の接点」は24日から、大船渡市三陸町越喜来の同学部三陸臨海教育研究センターで行われている。海洋生物資源の持続的な利用などを目指す両大学の研究者らが参集。25日までの日程で研究成果の発表や、白熱した議論を交わしている。
地球の平均気温は長期的にみて上昇傾向にあるなか、KAUSTが面している紅海はアフリカ東北部とアラビア半島に挟まれ、最も顕著な温暖化の状況を示すモデル海域として注目されている。また、地球上でもっとも海水の塩分が高く水温も大きい海域で、植物プランクトンが多い「サンゴの海」としても有名になっている。
一方、三陸沿岸は世界でも有数な高い生物生産性を持つ北太平洋に面しており、生物多様性も極めて高い。海面が穏やかな内湾を利用したカキやホタテなどの養殖が進められており、海水に豊富な栄養分が存在している。
世界有数の特徴的な海のほとりに所在する両大学は、海洋微生物の集団から直接収集・抽出される遺伝情報である「海洋メタゲノム」についての共同研究プロジェクトを平成26年7月にスタートした。ワークショップは北里大の地域連携事業の一環で、両大学の共同研究成果や海洋メタゲノム研究の最近の進展状況について討議することを目的としている。
24日は両大学の研究者ら約30人が参加。初めに、同学部の菅野信弘学部長とKAUSTの五條堀孝ディスティングイッシュト・プロフェッサーが「(ワークショップは)ローカルな研究を国際的なものとする第一歩」などとあいさつした。
ワークショップでは、両大学の研究者のほか、国立遺伝学研究所や県水産技術センターの研究者がメタゲノム解析にかかわる一連の研究のほか、大船渡湾の海水環境、水深、プランクトンの出現数の変化などについて発表を行った。海洋生物の多様性維持や持続可能な資源利用を目指す参加者らは、発表を熱心に聞きながら質問を飛ばしていた。
25日は早稲田大学や東北区水産研究所の研究者による発表が行われる。