「先人の証」を次世代に、歴史の道ガイド養成講座始まる/住田(別写真あり)

▲ 地名にまつわる歴史などが興味深い小府金屋敷周辺を巡る参加者=世田米

 住田町の「大股を次世代に伝える会」(遠藤重吉代表)と町教育委員会、大股地区公民館による初の「歴史の道ガイド養成講座」は26日、町内で行われた。年度内に全4回の開催を予定し、初回は世田米の町役場を出発後、柏里や小股などを巡りながら「盛街道」24カ所を踏査。参加者は先人が残した歴史文化の奥深さを現地で感じ取りながら、次世代に向けた発信や有効活用への意識を高めた。

 

初回は盛街道巡る

 

 藩政時代、大股地区は歴代の伊達藩主が巡視した「藩境の要路」とされる。金山や鉄山などに関する史実も多い。各地を回ることで、教育や文化、観光面の各振興につなげようと初めて企画した。
 地区内外から31人が参加。役場での開会行事では、泉彰地区公民館長が産金にまつわる歴史にふれながら「ロマンを感じる。歴史をひもとき、後世に伝えていきたい」とあいさつした。
 菊池宏教育長は「歴史や文化、伝統はご先祖様が生きた証であり、大事にしなければならない」と語り、今後の活動にエール。住田町商工会の千田明夫会長も、産業振興や地域活性化につながるよう期待を込めた。
 この日のテーマは「盛街道編」。バスで移動し、世田米宿からつながる赤畑の一里塚を皮切りに、柏里や小股の街道沿いに残る史跡を巡った。説明役は遠藤代表や、同会の紺野潔副代表が務めた。
 平安期に開削されたと言われる盛街道。水沢宿(奥州市)を起点として北上川を渡り、人首(同市江刺区)を経由して種山の物見山を越え、小股につながったあとは現在の国道107号沿いをたどり、盛宿に通じる。
 マツの切り株が残る赤畑の一里塚前では、遠藤代表が「昭和30年代までは形があったが、たび重なる水害や道路改良でほとんど原型をとどめていないのが惜しまれる」と解説。小府金「横沢屋敷」周辺では、横沢家の後裔が河原で珍しい形の石を見つけ「小判石」と名付けられたことが、地名「小府金」の由来であると紹介した。
 参加した世田米の菊池トミ子さん(78)は「家に一人でいるよりも、このようにたまには外に出て、みんなで歩くのも楽しいね」と語り、笑顔を見せた。
 その後は大股地区内にある金山跡や社を巡ったほか、紺野副代表による小股川の見どころ案内も。参加者は地域に秘める歴史や文化の奥深さを再認識しながら、今後の発信のあり方などを探った。
 次回は10月29日(土)に予定。小股から大股、中井、津付、種山へと続く「江刺街道」や栗木鉄山跡を巡ることにしている。問い合わせは遠藤代表(℡47・2114)または大股地区公民館(℡47・2403)へ。