狩猟に洞窟探検 大胆に、初の「ワイルドツアー」/住田町(別写真あり)

▲ 大祝洞窟にたどり着いた参加者=住田町

 住田町内で28、29の両日、県外在住者が火縄銃や狩猟を学び、洞窟探検などを楽しむ初の「住田ワイルドツアー」が開かれた。上有住五葉地区の秘境・大祝洞窟探訪では、県道から約30分歩き、突如現れる雄大な洞口の空間に感動。参加者は、住田が誇る自然資源や生活文化の魅力を肌で感じ取った。


 県外在住者が堪能

 

 主催は千葉県船橋市の合同会社で、地域活性化や人材活用に関する研修プログラム事業などを展開する「MP Launcher」(美濃部真光代表)。住田の多彩な魅力を生かして都会ではできない体験をしてもらおうと企画し、町内で仮設住宅支援などを手掛ける一般社団法人邑サポートや町観光協会が協力した。
 参加したのは県外在住の大学生ら6人。初日は上有住の五葉地区公民館で入村式が行われ、羅象館五葉山火縄銃鉄砲隊の演武を間近で見学。狩猟体験では、爆竹などを使ってシカを追い込む手法を学んだ。
 民泊で一夜を過ごし、翌朝は県道釜石住田線沿いにある大祝のバス停前に集合。町観光協会の佐々木康行主任が柳田国男著・遠野物語の山人にまつわる説話とのゆかりを解説したあと、ゆっくりと沢づたいの山道を登った。
 降雨の中での探訪となったが、道中ではクルミやサンショウの木を見つけ、多彩な自然資源にも理解。杉林には間伐が入っており、人間の手による森林管理の重要性も学んだ。
 住田町には77カ所の洞窟があり、県内では3番目に多い。沢から外れ、急勾配の斜面を登り切ると待ち受けていたのは、岩々に囲まれた高さ7㍍、幅15㍍の洞口。これまで歩いてきた森林の景観とはまったく異なる空間に、参加者は瞳を輝かせた。
 ヘルメットにヘッドライトをつけてさらに内部を歩くと、来訪を歓迎するかのようにコウモリが洞内を飛び回った。東北工業大学4年で宮城県仙台市在住の宮野晃貴さん(22)は「仙台では味わえない体験ができた。こういう体験をしたい人は、もっといると思う」と話し、笑顔を見せていた。
 体験後は世田米に移動し、4月から営業が始まった町住民交流拠点施設・まち家世田米駅で昼食。引き続き「地域活性ワークショップ」も行われ、参加者は2日間の経験をもとに、今後の体験型ツアー充実などに向けたアイデアを探った。