市民から意見聞くワークショップ開催へ、大船渡駅周辺の公園整備で

▲ 一般質問最終日は5議員が当局と論戦=大船渡市議会

 

 大船渡市議会9月定例会は9日、通告に基づく一般質問を行った。滝田松男(日本共産党大船渡市議団)金子正勝(無会派)森亨(同)森操(同、公明党)志田嘉功(無会派)の5議員が登壇し、市政課題を巡り当局と論戦。この中で当局は、大船渡町の大船渡駅周辺地域内に整備する公園について、市民から意見を聞くワークショップを開催してあり方を検討していく考えを示した。

 

5議員が登壇、市当局と論戦交わす/大船渡市議会

 

 大船渡駅周辺地区土地区画整理事業区域内における公園整備などを質問したのは、金子議員。区域内には、市が同事業で整備する大船渡、茶屋前、笹崎の各都市公園と、県が災害復旧工事を行う港湾緑地のサン・アンドレス公園、茶屋前緑地、みなと公園が配置される計画となっている。
 このうち、同議員は海沿いに隣接する大船渡公園とみなと公園のあり方について、当局の考えを質問。
 志田広記災害復興局長は「大船渡公園については、周辺の商業施設や行政施設の前に広がる多目的広場、須崎川に整備予定の親水広場等と連携した一体的な空間を形成するとともに、憩いとにぎわい、市民の余暇活動の創出に活用される公園としたい。県が管理、整備するみなと公園との連携のあり方を含めて、市民ワークショップの開催等により、市民の意見を反映しながら整備を進めていきたい」と回答。ワークショップは来月ごろから委員募集を始め、年度内に3回程度開催したうえで、計画をまとめたいとした。
 市が本年度作成を進める避難所運営マニュアルを取り上げ、各地区本部における地区公民館長の位置づけや役割を尋ねたのは、滝田議員。同マニュアルは大規模災害発生時に避難所をスムーズに開設、運営ができるようにするためのもので、平成28年度中に整備するとしている。
 戸田公明市長は地区本部の位置付けと地区公民館長の役割について、「地区本部においては、各地区の避難所と災害対策本部との連絡調整の役割を行う。その際、各地区公民館長はその地区に精通していることから、地区内の避難所や自主防災組織、地域公民館などからの情報収集、連絡調整をお願いしたい」と説明。
 以前は地区公民館長、地域公民館長、自主防災組織代表、行政連絡員などは地区本部付としていたが、現在は連携協力体制に変更している。鈴木昭浩総務課長は「地区本部付はある一定の義務を負わせることになり、負担をかけたくない」と変更に理解を求め、実際の活動内容は従前と変わらないとした。
 赤崎と蛸ノ浦の両小学校による統合を29年度に控え、閉校後における蛸ノ浦小施設の利活用について質したのは、森亨、志田の両議員。
 志田努教育次長は「閉校後も地域コミュニティーの推進や地域福祉の向上、地域振興に資するよう積極的に活用を図ることが重要」として、社会教育や社会体育などの公共施設、起業、創業のためのオフィスといった他自治体の先行事例を紹介。
 一方で、校舎は昭和45年、屋内運動場は同49年に建築され、40年以上が経過している現状にも触れ、「今後も長期にわたって使用する場合は、一定の補強工事が必要。利活用は地域の方々と施設の現状にかかる情報を共有したうえで、先行事例も参考にしながら総合的な観点から検討していきたい」と答えた。
 志田議員は湾口防波堤整備による外海漁港への影響と対策を取り上げ、台風などで湾内に流入したごみの処理や赤崎町の千丸海岸、長崎、外口漁港の災害対策などを追及。地元住民や漁業関係者らと協議を重ね、解決方法を探るよう求めた。
 尾坪明農林水産部長は、先日の台風10号における長崎、外口漁港などの被害状況に触れ、「整備については地域と協議することにしている。こちらからまず赴き、どういうものが必要か、できるものとできないものをはっきりさせながら地域と協議していきたい」と答えた。
 森操議員は市内の介護、水産加工現場の人手不足解消と、都市部からの一人親世帯の移住支援をからめた人口減少対策を提案。人手不足解消に向けた施策があるか当局を質した。
 戸田市長は「緊急雇用創出事業を活用し、各社会福祉法人等で介護の仕事に従事しながら資格を取得させ、雇用期間終了後は継続雇用に結びつける事業を実施している。さらに本年度の新たな取り組みとして、介護の仕事理解促進事業を行う予定。地域住民や高校生を対象に、介護講座やインターンシップを実施して介護の仕事に理解を深めてもらい、介護人材の確保につなげたい」と回答。水産加工の現場では、宿舎の整備、借り上げへの補助、合同就職面接会や職場見学会の開催などに取り組み、国に対策を求めていくとした。