文化・国境を越え、三陸国際芸術祭開幕/大船渡(別写真あり)

▲ インドネシア・パプアの「エユセル」がオープニングを飾った=盛町

 NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(佐東範一代表)が主催する「三陸国際芸術祭2016」のメーンプログラムは10日、大船渡市盛町で2日間の日程で開幕した。気仙を含む国内外の郷土芸能団体が国境や文化を越えて集い、多種多様な舞や踊りを披露している。

 

きょうまで盛町で

 

 同芸術祭は、三陸地域の芸術文化の魅力を国内外に発信するとともに、国際規模での芸能交流を図ることなどが目的。文化庁の平成28年度国際芸術交流支援事業に採択されている。
 公益社団法人全日本郷土芸能協会や同市のみんなのしるし合同会社が共催しており、本年が3回目の開催。8月上旬から10月下旬まで、三陸沿岸の各地で関連プログラムが行われており、今回のメーンプログラムには国内外から10以上の団体が参加している。
 初日はプレイベントとして朝市でインドネシア共和国のバロンダンスが、ショッピングセンター「サン・リア」でフィリピン国立芸術高校と京都市のロスホコスによる踊りが、地域密着型介護老人福祉施設・蔵ハウス大船渡前で沖縄市の胡屋・仲宗根遊び獅子と香港のライオンダンスが舞を披露した。
 このうち、バロンダンスでは、インドネシアのバリ島に伝わる獅子で「聖獣」と呼ばれるバロンが登場。大切な祭礼の際に村内を清めるというバロンが朝市を練り歩く様子を、観客らは「権現様みたいだね」などと感想を言い合いながら興味深く見つめていた。
 正午から行われた開会式では、同芸術祭のプロデューサーを務める佐東代表が「2日間、盛町のさまざまな場所で踊りが行われる。来場者のみなさんだけでなく、出演するみなさんもぜひいろいろな芸能を見て楽しんでほしい」と呼びかけた。
 続いて、参加団体を代表してフィリピン国立芸術高校のドナルド・アブアニさんが「私たちはそれぞれが違う文化の代表者として三陸に来ました。参加できるのがとても光栄です」とあいさつした。
 式後、オープニングを飾ったのがインドネシア・パプア州のグループ・エユセル。パプアの民謡を愛する若者たちによってつくられた団体で、歌と音楽を探求し、普及させることによって、パプアの文化的アイデンティティーを継承するという目標を「足跡をたどる」という意味のグループ名に込めている。
 エユセルは抜けるような青空の下、南国らしい軽やかな歌やステップを披露し、会場を沸かせていた。
 このほか、参加団体が路上でパフォーマンスする「混沌商店街」や市民による創作ダンス「秘密の三鉄劇場『旅するからだ』」などが行われた。また、会場となった盛駅前ロータリーや蔵ハウス前にはカフェが設けられ、市民らが和やかな時間を過ごしていた。
 この日の夜には同芸術祭関連プログラムの「大船渡復興・北東北三大まつり」が盛町商店街一帯で開かれ、盛岡さんさ踊り、秋田の竿燈、青森の弘前ねぷたなど、県内・国内外の15団体が集結。夜の商店街に彩りを添えた。
 11日は、午前10時30分からリアスホールで連携プログラムの「リアス・ウェーブ・フェスティバル」が開かれるほか、午前11時から蔵ハウス前で「現代アート座談会・まちなかアートってなんだ?」が、午後1時から蔵ハウス前と中央通りで「祭博芸能交流会・混沌商店街2」が行われるなど、さまざまな催しが予定されている。

北東北三大まつりには県内・国内外の15団体が集結=同

北東北三大まつりには県内・国内外の15団体が集結=同