地域定着さらに充実を、新たな弁護士法人立ち上げ/陸前高田

▲ 新たな弁護士法人を立ち上げる(左から)鈴木氏、瀧上氏、在間氏、新谷氏=陸前高田

 陸前高田市高田町の「いわて三陸ひまわり基金法律事務所」で平成24年以来所長を務めてきた在間文康弁護士(38)は、今月末で任期を終える。同事務所は10月3日(月)から、新たに設立される「弁護士法人空と海」の支店事務所となり、釜石市などで被災者支援に携わってきた瀧上明弁護士(44)が就く。在間弁護士は11月以降、東京での執務となるが同法人に所属し、気仙の被災者と向き合ってきた経験を組織として生かす考え。法人を立ち上げることで地域に定着し、今後も復興へと歩む中で浮かび上がる住民課題の解決を図る。

 

継続的な住民支援見据え
 ―10月から―
在間氏の〝後任〟は瀧上氏に

 

 ひまわり基金法律事務所は、全国の弁護士過疎解消に向け、日弁連や地元の弁護士会が開設や運営を支援している公設事務所。陸前高田市では弁護士が常駐する法律事務所が開設されたことはなく、弁護士過疎の状況が長らく続いていた。
 平成23年3月の東日本大震災で甚大な被害を受け、法的支援の必要性が高まった中、公設事務所の開設が決定。兵庫県出身で高校時代に阪神淡路大震災を経験した在間弁護士が初代所長に選定され、24年3月に高田町鳴石の商工会や社協事務所などが入る仮設施設に事務所が設けられた。
 在間弁護士は4年半の間に、事務所や各種相談会で約1400件の相談に対応。さらに市内の仮設住宅団地などを回り、住宅再建支援や二重ローン問題対策などを分かりやすく伝えながら被災者と対話を重ねる活動は224回に達し、相談は781件に上った。
 当初は3年の任期だったが「赴任から2年の段階で、二重ローンや相続などの問題はほとんど解決していなかった」(在間弁護士)といい、1年半延長。今月で任期終了を迎えるにあたり、在間弁護士をはじめ弁護士過疎地域である県沿岸部や鹿児島県・奄美大島の公設事務所で活動してきた4人の弁護士が中心となって「弁護士法人空と海」を立ち上げた。
 10月3日以降、陸前高田ではひまわり基金法律事務所と同じ所在地、電話番号(47・3613)で「そらうみ法律事務所陸前高田事務所」を開設。同事務所では、瀧上弁護士が執務を行う。在間弁護士は10月中は高田事務所にいるが、11月からは東京都内に構える事務所が拠点となる。
 瀧上弁護士は兵庫県出身。18年から23年まで、釜石ひまわり基金法律事務所の初代所長を務めた。いったん都内の法律事務所に所属するも、震災を受けて同年7月に復興を目指す「岩手はまゆり法律事務所」を開設。一昨年まで被災地復興支援活動に携わった。現在は都内の法律事務所に在籍している。
 東京事務所では在間弁護士に加え、新谷泰真弁護士(38)=東京都出身=が執務予定。鹿児島県奄美市に来月設ける事務所には、鈴木穂人弁護士(39)=同=が赴任する。
 法人立ち上げの大きな目的は、住民への継続的な司法サービスの提供。在間弁護士は定期的に陸前高田に訪れる方針といい、これまで地域で築き上げた関係性を保ちながら充実を図る。
 在間弁護士は「仮設住宅に暮らしていて制度の隙間に落ち込み、行き先がなかなか見つからない方をどう支えるか。また、大きく生活基盤が崩された災害でもあり、10年先、20年先にもさまざまなトラブルにおいて震災の影響が形を変えながら出てくる」と語り、継続性の大切さを挙げる。
 距離が離れた3地域での活動で得られた情報を共有しながら充実につなげたい考え。陸前高田での経験を、今後各地で起こりうる災害への備えに役立てる活動も見据える。
 瀧上弁護士は、再度被災地で弁護士活動にあたりたいと思い続けていた。「働く場を与えてもらったという思い。災害対応、被災者ケアは自分が弁護士になった動機と重なる。ここで頑張らないと、弁護士になった意味がないという思い。過疎地や被災地は、救いの手から漏れる方々が出てくる」と語り、力を込める。