「守り、継続」の道筋は、農業者対象の意見交換スタート/住田町

▲ 町内農業の現状を確認しながら意見交換=住田町

 「農地を守り、農業を継続するために」をテーマに、住田町は今月から農業者との意見交換を始めた。町内では兼業農家で1㌶以下の経営規模が大半を占め、近年は自営農家の高齢化や耕作放棄地の対応などが課題に。野菜と畜産の複合経営や集約化で「住田型農業」を築き上げた昭和40~50年代とは環境変化が続く、農業者からは多彩な観点から悩みや提言が寄せられている。
 意見交換は、町内に23ある農業振興組織会単位で開催。今月6日から始まり、11月まで各地を回る。13日夜は世田米の中沢上、中沢下の各関係者を対象に中沢公民館で行った。
 町側では横澤則子農政課長ら職員3人が出席。冒頭、横澤課長は「今後の農業政策や現在策定している第6次農業基本計画に反映させたい。住田町として農業をどう進めるべきか、皆さんがどういう農業だったらいいかをざっくばらんに話したい」と述べた。
 意見交換に先立ち、町側では現状における農業の概要を説明。農家数は486戸で専業農家は28%。第1種兼業農家(主な所得が農業)は10%で、残りの62%は農業以外の職を収入の柱とする第2種兼業農家が占める。
 経営規模別にみると、0・5㌶未満は42%。0・5~1㌶は44%。1~1・5㌶は10%。1・5㌶以上は4%となり、小規模の家族的な農業経営が大半を占める。荒廃農地は平成25年で49・9㌶だったが、26年には61㌶に増加。27年は60・4㌶だった。
 園芸作物の生産振興では、町が基幹作物に掲げるキュウリやイチゴは水田農業ビジョンの地域振興作物に位置づけ、推進策を展開。キュウリは3・2㌶、イチゴは1・2㌶の実績となっている。
 今後の振興に期待を持てる状況となっているのはネギで、生産面積は2・3㌶。生産者は徐々に増えているという。
 新たに組合が設立されるなど、大豆は6・9㌶。このほか、トマトは1・1㌶、ズッキーニは1・2㌶、ホウレンソウ1・9㌶、さやいんげん1・0㌶となっている。
 米の生産調整対策推進をみると、前年度は水田面積403㌶のうち、作付けした実績は191㌶、作付目標は217㌶。生産調整の目標を達成した。
 この日の意見交換では、飼料米生産が話題に。現在は町の独自支援も含めて10㌃あたり10万円の支援金制度があり、支援は37年度まで続く見通し。町内の畜産業者で飼料米を欲しいとの声がある半面、生産は一部にとどまっている。出席者からは「地域ぐるみなど、大きなプロジェクトになれば成り立つかもしれない」といった声が出た。
 新たな事業や農業振興策の導入に関しては「大型化、集約化をしていかないと」「行政からしっかりとした提案があれば、こちら側もやりやすい」といった発言も。このほか、産直施設の活用、トマトをはじめとした施設型農業の展開、ズッキーニなど先月見舞われた台風被害に関しても意見交換が行われた。