27年度分一般会計決算を不認定、三木・ランバー問題巡り/住田町議会決算特別委

▲ 一般会計決算の採決は起立少数で不認定に=住田町

 住田町議会決算審査特別委員会は14日、平成27年度一般会計決算を不認定とした。開会中の9月定例会では、町に対し多額の未償還金や未払金を抱える三陸木材高次加工協同組合(三木)や協同組合さんりくランバー(ランバー)問題を巡り、多くの議員が一般質問や特別委審査の中で当局を追及。町への償還が計画通り進まない現状や、立木売払未収金がさらに増加したことに、議会側が厳しい判断を突きつけた。決算は16日の本会議で採決されるが、不認定となれば近年にない異例の展開となる。

 

 決算審査特別委員会は議長を除く10議員で構成。一般会計決算認定の採決で認定すべきと起立したのは、3人にとどまった。同日進行を務めた委員長の瀧本正德議員は16日の本会議では採決に加わるが、現段階では特別委と同様に不認定となる流れとなっている。
 一般会計決算は歳入52億7501万円、歳出は51億534万円。差引額から繰越額を引いた実質収支額は1億1453万円。予算額との比較割合は収入が95・02%で、歳出は91・96%だった。
 町監査委員の決算審査意見書では、安定した健全財政を維持しつつ、新庁舎を核とした木材積極利用の発信、保育料見直しによる子育て支援の充実など計画的に達成した実績を評価。そのうえで厳しい経営が続く三木・ランバーの問題に言及している。
 これまで町が両組合に融資した農林業振興資金貸付金総額7億9000万円に対する平成26、27年度分の元金償還6176万円のうち、27年度納入額は223万円。25年間での返済を計画している中で「未収金解消に向けた第一歩であり、さらなる未収金回収に向けた努力を望む」と総括している。
 一方、木工団地問題に関連する立木売払代金の未収金総額は2億2584万円で、26年度比較で1452万円増加。この点については「解消に向け早急な対策を講ずることを望む」としている。
 12日から3日間行われた特別委の質疑でも、未収金対応が取り上げられた。当局は26年度に過去の未収金の一部が入ってきた経緯はあるが、27年度は中断したと説明。未納分については町とランバーが確認書を取り交わしており、顧問弁護士からはその確認書が「消滅事項の中断」になるとの話を受けているという。
 立木売払金のうち、27年度におけるランバーへの売上金約2000万円に対し、納入は580万円にとどまるという。未収金がさらに膨らんだ中、委員から厳しい対応を求める発言が出ていた。
 最終日は副議長を務める阿部祐一委員(無所属)が総括質疑を行い、この中でも未収金を追及。新たに生じないための対策が必要との指摘が出ているとし、旧経営陣の責任明確化や債権回収を迫った。これに対して横澤孝副町長は昨年10月以降、新たな経営・生産体制の下で改革を進めたことで安定化の兆しが出ているほか、今後策定される経営計画に基づいた返済が見込まれるとし、それらの状況を見定めながら判断する姿勢を示した。
 このあと、佐々木春一委員(日本共産党)が三木・ランバー問題も理由に盛り込みながら反対討論。賛成討論と、反対、賛成に関する発言はいずれもなく、採決に入った。
 不認定とした複数の議員は三木・ランバー問題を理由に挙げた。議員の一人は「町長は来年夏で任期満了を迎える。そこまでに償還や未払金に対する方向性をきちっと打ち出すべき」と話した。
 一方、起立して認定すべきとの意思を示した議員からは「今は長い目で育成することが必要。従業員らに不安や動揺を与えるようなことはすべきではない」との声が聞かれた。
 多田欣一町長は東海新報社の取材に対し「コメントはない」と語った。特別委に同席していた菊池孝議長は「本会議は粛々と進めるしかない」と述べた。
 仮に本会議で決算が不認定となっても法的な効力はなく、決算そのものに影響を与えることはない。議会側が予算執行を担った町に対して道義的責任を問う形となる。