通算9度目の日本一に、菅野選手(陸前高田市協会長)全日本シニアソフトテニス制覇

▲ 長年ペアを組む袴田選手と男子65の部に出場し、2連覇した菅野選手㊨。「後輩のためにこれからも頑張る」と意欲も新たにする

 

 第20回全日本シニアソフトテニス選手権大会(日本ソフトテニス連盟主催)は9~11日、千葉県白子町で開かれた。65歳以上の選手が出場する男子65の部で、秋田県能代市の選手と組んだ陸前高田市ソフトテニス協会長の菅野勝郎さん(68)が2連覇。同大会としては通算9度目の日本一に輝き、競技関係者が祝福している。

 

秋田の選手とペア出場

 

 45歳以上のプレーヤーを対象に、5歳ごとに区分し争われる大会で、今年は熊本県を会場に開催する予定だったが、熊本地震により会場を変更。大会名には「熊本地震復興支援」という冠称も入れた。男子の部には551組、女子の部には466組、男女混合の部には264組が臨み、それぞれトーナメントやリーグ戦で競い合った。

 このうち、男子65の部には109組が出場した。

 前回大会を制した菅野・袴田文雄組は2回戦を4―2で勝利すると、3回戦はフルゲームの末、4―3で辛勝。大会2日目は降雨によりコートが濡れるコンディションとなった中、持ち味の攻めのスタイルを貫いた。準決勝、決勝ともに相手をほんろうし、ストレート勝ちした。
 菅野さんは昨冬、体調を崩して1カ月入院し、「退院後、明らかに筋力が衰え、動きも鈍くなった」。左ひざも故障し、不安を抱えながら同大会を迎えた。
 初日はやはり思うような動きができず、試合後「あまり経験がない」という足をつるアクシデントにも見舞われた。国内外の選手を相手に大舞台で勝ち抜いてきた長年の経験が生きたのは2日目。「このくらいの動きはできるという確認が初日にできたので、その範囲でできる限りのプレーをした」と復調し、通算9度目の日本一という偉業を果たした。
 震災で気仙町の自宅を失い、現在は宮城県気仙沼市に住むが、「この年になっても大好きなソフトテニスができる。大変かもしれないが、悲観的に思うことはない」と口調は明るい。協会には菅野さんのほかにも全国レベルの選手が名を連ねており、週に一度の練習は「非常にレベルが高い」と話す。
 現役プレーヤーとして活躍する傍ら、力を入れているのが後進の育成。依頼があれば地元外にも顔を出し、小学生からシニアまで幅広い世代に試合で勝つための技術を伝えている。
 11月にはアジアシニア大会(韓国)も控えるが、「個人的には結果よりも全国、海外の選手たちと久しぶりに会い、健康を確かめ合うことが大事」と語る。一方で、「いま一生懸命練習する現役の選手たちの励みとなるよう少しでも上位を目指して頑張ります」と思いを新たにする。